蓄熱式空調システムのエネルギー評価と計画・設計ツールの開発
【研究分野】建築環境・設備
【研究キーワード】
蓄熱式空調システム / 設計ツール / 評価手法 / シミュレーション / 大温度差蓄熱 / 躯体蓄熱 / 潜熱蓄熱式床暖房 / 省エネルギー / 経済性 / エネルギーシミュレーション / 動特性 / 水蓄熱槽 / 潜熱蓄熱
【研究成果の概要】
本研究は,蓄熱式空調システムの設計指針および最適運転手法の確立を目的として,各種蓄熱式空調システムの実測調査とその解析・評価を行うとともに、信頼性の高いエネルギーシミュレーションおよび蓄熱式空調システム設計支援ツール開発のための基礎研究を行うものである。得られた研究成果は以下の通りである。
1.大温度差水蓄熱式空調システムを採用した事務所ビルにおける夏季実測により、地下二重スラブを利用した連通管方式の水蓄熱槽において、利用温度差10℃での蓄熱空調運転が計画通り行われ、水蓄熱槽のコンパクト化が可能であることを明らかにした。また、当初懸念した除湿能力にも問題は生じていない。
2.天井プレナム内空調ユニットからの温冷風を夜間に床スラブ下側に吹きつけて蓄熱する躯体蓄熱システムを採用したRC造実験棟において、夏季の躯体蓄熱(5時間蓄熱)により、昼間のピーク負荷は15%、電気料金は14%低減できた。また、中間季のプレナム内夜間外気導入による省エネルギー効果を定量化した。
3.潜熱蓄熱式床暖房システムを導入した老人保健施設での実測調査により、本方式の温熱環境的な利点と運転管理上の課題について明らかにした。また、シミュレーションにより、運転指針(通電時間及び制御用設定温度)を提案した。さらに強制対流暖房システムとの比較により、本システムのランニングコスト削減効果を確認した。
4.温度成層型水蓄熱、潜熱蓄熱式水蓄熱、氷蓄熱のシミュレーションモデルを作成し、エネルギー消費量や経済性を比較評価した。また、設計支援ツールへの組み込みを前提として汎用性を高めた水蓄熱システムおよび躯体蓄熱システムの評価プログラムを用い、システムの設計段階において、どのような要素が蓄熱システムの選択に影響するのかを明らかにした。
【研究代表者】