「豊かさ」を考慮した新しい住環境評価法の開発
【研究分野】建築環境・設備
【研究キーワード】
居住環境 / 豊かさ / アンケート / 温熱環境 / 住宅 / 住宅面積 / プレザントネス / シミュレーション
【研究成果の概要】
日本の住宅事情は、質・量ともに向上してきたが、未だ十分に満足のいく状態ではない。地球環境問題の深刻化とともに、必要十分な機能を備えた良好な住宅ストックを整備する必要がある。本研究の目的は、人間の真の欲求から求められる原点となる理念的住宅の設定と、構造の異なる二種類の快適性(積極的な快適性と消極的な快適性)から導かれる満足感の構造を組み合わせた評価法を開発することである。
1)建築環境工学グループ:
本グループが中心となり3グループ共同で、名古屋市内の3つの住宅地の計1200人を対象に計3回の意識調査を行った。この中で、現在の住宅環境の満足/不満足、人生の豊かさ、住宅の豊かさを分析し、トレードオフやプラスαの要素を組み込んだ新たな住環境評価法を検討した。また、これとは別に、インタビュー調査から宅地購入の意志決定プロセスについて解明した。さらに、住宅内で生じる居室間の温湿度格差を利用した新たな換気システムの制御手法や、住宅内急病の発生件数変化や高齢化等を背景とした急病発生率の上昇と住宅内環境改善の必要性を明らかにした。
2)建築計画グループ:
住宅の「豊かさ」について、実際の諸室の面積・評価・理想的な広さの関係から、広さに対する住民の要望や面積の閾値を求めた。地域の緑の量を歩行者の視野に映る量として数値化し,その地域居住者の緑環境に対する評価と,画像による被験者実験による評価,あるいは法定の緑被率などと比較し,それらの相互関係を検討した。
3)心理生理グループ:
共同アンケートでは、暮らしの不満や暮らしに関係した行動の快適さについて調査し、両者の関係やこれらの評価が自分の暮らしの評価に及ぼす影響を検討した。さらに、「豊かな暮らし」、「豊かな人生」から連想する語のデータの収集を行い、KJ法により豊かさという語の意味解析を行った。また、中高年が建てたい理想の住宅像に明らかにした。
【研究代表者】