道路特殊部における騒音伝搬メカニズムの解明と騒音予測モデルの開発
【研究分野】建築環境・設備
【研究キーワード】
騒音伝搬 / 予測モデル / 道路特殊部 / 波動数値解析 / 縮尺模型実験 / 現場実測 / 防音塀 / 掘割・半地下構造 / 掘割・半地下構造道路 / 数値解析 / 縮尺音響模型実験 / キャニオン効果
【研究成果の概要】
産業を支える大動脈である道路交通は社会生活に不可欠であるが、その反面、騒音等の社会問題を引き起こし、我々の生活を脅かす一面を有している。特に東京およびその近郊の大都市部では膨大な交通量に起因する道路騒音が生活環境に与える影響が甚大であり、騒音対策の立案のためにも精度の高い予測法が必要である。都市部およびその近郊においては、高密度な土地利用形態が求められるため、下記に示すような騒音伝搬が複雑となる道路構造が数多くに見られる。
(1)各種形状をもつ大型防音塀、(2)掘割・半地下構造道路、(3)高架・平面併設道路
これらの複雑構造における騒音予測法を確立することを目的に本研究課題を計画し、下記の成果を得た。
各種形状を持つ遮音壁・防音堤の減音効果に関する検討 遮音壁はもっとも一般的な騒音対策法として広く用いられている。近年、騒音激甚地域においては各種形状をもつ遮音壁が採用されることが多くなりつつあるが、その減音効果の予測法は確立されていない。また、防音堤についても予測計算法が詳細に検討されておらず、これらの対策法を立案するための資料の収集が必要である。そこで、各種形状をもつ遮音壁や防音堤による回折減衰効果について、波動数値解析および縮尺模型実験による解析を行い、予測モデル開発のための基礎資料を得た。
波動数値解析法の適用性に関する検討 形状および境界条件が複雑な場合、騒音予測のために波動数値解析が行われる。しかしながら、都市域のように非常に広がりの大きい音場を対象とする場合、音場全体を離散化することは不可能なため、対象を断面あるいは平面形状を2次元にモデル化した上で解析されることが多い。その場合に問題となる音源条件の違いに起因する解析結果の差異について、縮尺模型実験により検討した。各種形状をもつ防音塀の減音効果に着目して検討を行い、3次元音場における2種類の音源条件および2次元解析で設定される音源条件の3つの条件間の差異を定量的に把握することができた。
掘割・半地下構造道路からの騒音放射特性 前年度に行った掘割・半地下構造道路からの騒音放射に関する2次元数値解析に引き続き、今年度はより現実的な3次元音場における騒音放射特性を縮尺模型実験により詳細に検討した。騒音放射指向性に関する実験によって開口部からの騒音放射の特徴を把握した上で、開口部付近に仮想点音源を設定する簡易計算モデルに関する検討を行い、提案するモデルが張り出しの大きな半地下構造道路には有効に適用可能である見通しを得た。また、都内の半地下構造道路における実測を行い、騒音環境の実態に関するデータを得た。
【研究代表者】