知覚は伝染するのか?:心理物理と脳情報デコーディングによる検証
【研究分野】心理学およびその関連分野
【研究キーワード】
他者視点取得 / 心理物理 / 視覚心理 / 視覚 / fMRI / 脳情報デコーディング / 知覚 / 社会的伝染
【研究成果の概要】
本研究では「ヒトが他者の視知覚を推測する際には、自分自身の(脳内)初期視覚システムを使う」という仮説を心理物理実験により検証した。なお、検証には運動残効と呼ばれる現象を利用した。心理物理実験では、まず、「自分自身が運動刺激を見た後には、自分の見た運動刺激に応じて運動残効が起こる」ことを確認した。次に、「他者が見ている運動刺激を推測する課題において、他者の見た運動刺激に応じて運動残効が起こる」ことを発見した。この結果は、「運動残効は脳の初期視覚システムで起こる」という先行研究の知見と併せて、「ヒトが他者の視知覚を推測する際には、自分自身の初期視覚システム”を使う」ことを示唆するものである。
【研究の社会的意義】
ヒトは社会的動物であり、他者との協調なしには生きていけない。互いに協調することで、我々は社会を発展させてきた。他者とうまく協調するには、他者の感情や意図、好み(選好)や価値観などの心理状態・傾向を正しく推測する必要がある。本研究では、これまでの研究であまり注目されてこなかった「他者の視知覚の推測」に新たに焦点を当てた。我々の研究では、「ヒトが他者の視知覚を推測する際には、自分自身の(脳内)初期視覚システムを使う」ことを示唆する結果が得られた。他者の視知覚の推測を支える脳メカニズムを明らかにすることは、ヒトが社会の中で「他者と“どのように”協力するのか?」の一端を解明することに繋がり得る。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
柴田 和久 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 | 放射線医学総合研究所 脳機能イメージング研究部 | 主幹研究員(任常) | (Kakenデータベース) |
鈴木 敦命 | 名古屋大学 | 情報学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2017-06-30 - 2019-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)