不整斉木造架構を対象とした三次元計測およびAM技術を用いた構造補強方法の開発
【研究キーワード】
AM技術 / 三次元計測 / 木造架構 / 構造補強 / 建造物保存 / ジャイロイド / CFRP
【研究成果の概要】
【AM材料の検証】AM材料の材料特性の検証を目的として、3Dプリント用CFRP材料の材料引張試験を実施した。3DプリンタにはRaise3D Pro2を用い、材料にはPolymaker PA6-CFを用いた。積層面内および積層方向での出力角度をパラメタとして実験を行い、強度や破壊形式の違いを確認した。
【補強部材の検討】補強部材形状の候補としてジャイロイド構造に着目し、圧縮試験を実施した。先行研究では3Dプリントの積層方向と載荷方向が一致しているものがほとんどであるが、補強部材には様々な方向から力が加わることが想定されるため、積層直交方向を載荷方向とした。材料にはアルミ合金とCFRPを用い、ジャイロイド構造の目の粗さを3通りに設定した。CFRP試験体では、目が粗い試験体では脆性的な破壊形式となったのに対し、目が細かい試験体では靭性を有する破壊形式が得られ、積層面間の強度が乏しいFDM方式の3Dプリント部材を構造部材として用いることができる可能性が示唆された。
【現地調査】最終年度に実証実験を行う実大木造建築物について、構造補強前の現況把握を目的として、実測調査、三次元計測、モニタリングを実施した。実測調査では、柱梁部材の配置確認および寸法計測を行い、正確な実測図面の作成および建物全体の構造解析モデルを作成するために必要な情報を取得した。三次元計測では、3Dスキャナ(EinScan HX)を用い、柱梁接合部および梁交差部について三次元点群データを取得した。計測用マーカーを貼付する必要はあるものの、表面の細かな凹凸を含め、丸太梁等の形状を詳細に測定できることが確認できた。モニタリングでは、加速度センサ(MEMS加速度センサADXL355、7台)と温湿度センサ(おんどとりTR-72wf、10台)を用いて、建物の振動特性および環境情報の継続的な観測を2021年10月から開始した。
【研究代表者】