発電機形状の最適化によるプラズマMHD発電の高性能化
【研究分野】電力工学・電気機器工学
【研究キーワード】
プラズマMHD発電 / エンタルピー抽出率 / 断熱効率 / スワール / 断面積比 / ゆらぎ / マッハ数 / エネルギー変換 / 高性能化 / 全圧損失
【研究成果の概要】
本研究では、飛躍的に高い発電効率が期待できるプラズマMHD発電機の性能向上を研究目的とした。平成9年度から11年度の3年間にわたる科学研究費の補助により、当初の予想を上回る大きな成果を得ることができた。
平成9年度は、発電機の形状の最適化、すなわち断面積比の最適化を行い、世界最高の断熱効率46.5%を得ることができた。同時に、出力密度も140MW/m^3と高い値が得られ、出力密度の実用化目標を達成することができた。それと同時に、断面積比が小さい場合には、さらに、エンタルピー抽出率(=電気出力/熱入力)を向上させる必要があることを示した。
平成10年度は、エンタルピー抽出率を向上させるため、発電機の入口に旋回流を導入する方法を採用した。旋回流導入用のベーンに新たな概念を提案し、この概念に基づいてベーンを作成し、これを発電機内のノズル内部に設置し、実験を行った。その結果、エンタルピー抽出率(電気出力/熱入力)25.7%、断熱効率54.3%が得られ、それまでの性能を大幅に更新することができた。さらに、出力も759kWという非常に大きな値が得られ、プラズマMHD発電の研究の歴史に記録される優れた成果を得ることができた。
平成11年度は、さらに高性能な発電機を設計するために必要なデータを蓄積するため、MHD発電機内の諸現象を詳しく調べた。その結果、入口旋回流を導入した場合には、正の旋回流が高く保たれたること、またマッハ数が全域で超音速に維持されるため、高性能の発電性能が得られたことが明らかにできた。また、プラズマの揺らぎの原因がシード率の揺らぎにもあることをつきとめ、高性能化のためには、シード率の揺らぎを小さく抑えることが重要であることを見出した。
以上のように、本研究によりプラズマMHD発電機の性能が飛躍的に向上する共に、発電機内諸現象についても多くの新しい知見を得ることができた。今後、これらの知見を活用する新たなる研究の展開が望まれる。
【研究代表者】