誘電体結晶における逐次相転移現象と不整合構造および粒度効果
【研究分野】無機工業化学・無機材料工学
【研究キーワード】
誘電体 / 逐次相転移 / 不整合構造 / 熱容量 / X線構造解析 / 誘電率
【研究成果の概要】
液体ヘリウム温度から室温に至る温度範囲で作動する精密断熱型熱量計を製作し、温度目盛をITS-90に準拠させるとともに,自動測定を合理化する電気回路システムおよび計算機プログラムを整備した.また液体窒素温度から200℃で定速昇降温あるいは一定温度保持が可能な誘電率測定装置を製作した.さらに特異な相転移現象を示す各種誘電体結晶の試料を調製した.
BaZnGeO_4については,溶融体から固化させて得た試料を用いてX線構造解析を行った.粒径0.2mm以上の結晶で出現する第6相を経験した試料は,従来の室温相(第3相)と異なる第7相となることを見い出し.その空間群はP6_3あるいはP6_3/mであることを明らかにした.また低温でのX線回折実験により第6相の副格子はP6_322であり,超格子はP6_122あるいはP6_522であることを示した.これらの新たな構造と従来の相転移系列との比較から粒度効果を考察した.また電子顕微鏡および電子線回折実験により整合一不整合相転移の挙動を詳細に解析した.
K_2ZnCl_4については,水溶液からの再結晶により良質の試料を得た.試料の粉砕脱気による146Kの相転移挙動の劇的な変化は,力学的効果によるものではなく,試料中に存在する微少量の水分によることを明らかにした.すなわち試料の乾燥と吸湿の過程およびそれによる相転移挙動の変化が可逆的であることについて,精密熱容量測定により実証することができた.
その他,不整合相を持つビス(4-クロロフェニル)スルホンについて熱容量測定を行い,148KにN-IC相転移を見い出すとともに格子振動と不整合相発現機構を考察した.また新物質C_<60>についても熱容量測定を行い,相転移現象と格子振動および残留溶媒効果を解析した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
川路 均 | 東京工業大学 | 工業材料研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1991 - 1992
【配分額】6,900千円 (直接経費: 6,900千円)