短結晶圧電素子を用いた新しい小型・高性能機構デバイスの研究
【研究分野】電子デバイス・機器工学
【研究キーワード】
機構デバイス / 圧電アクチュエータ / 分極反転 / 圧電単結晶 / リレー / 電気接点 / 加速度センサ / 近接センサ / アーク放電 / 電極損傷 / 有限要素法
【研究成果の概要】
本研究では、層状反転ドメインを利用した圧電アクチュエータを用いることにより、電磁コイル不要な超小形・高集積機構デバイスを実現することを目指し、そのアクチュエータ機構、電気接点現象、駆動方法、応用デバイス等の検討を行い、3年間の研究を通して以下の成果を得た。
1. LiNbO_3層状反転ドメインの形成並びにアクチュエータ素子製作技術の開発を行い、集積化が可能で、駆動電力が小さく、かつヒステリシスやクリープのないアクチュエータを実現した。また、このアクチュエータのリンギングを抑制するために共振モードを抑制する方法を確立し、精密微小変位制御を実現した。
2. 酸化やシリコーン蒸気による汚染などによって接点の接触不良が生じるメカニズムを調査し、加熱や周囲雰囲気による電極表面皮膜の生成と電気抵抗への影響を追究した。さらに、電気接点が接触と乖離を繰り返す時に生じる表面の不純物の接触抵抗への影響を調査検討した。
3. 圧電単結晶を用いた新しい機構デバイスの設計を行うために3次元有限要素法によるコンピュータシミュレーション技術を確立した。これによる振動変位分布、共振周波数、電気機械結合係数の解析を行った結果、実験結果にほぼ一致した結果が得られ、本シミュレーション技術の有効性が確認された
4. リレーやコネクタなどの接点機構の研究には、微小ギャップを制御した精密実験が必要である。絶縁破壊電圧等の接点現象解明を目的として、本アクチュエータ及び光変位センサを用いて変位量を精密に制御した評価試験法を開発した。
5. 分極反転圧電アクチュエータを用いたサーボ型加速度センサを提案し、高感度の加速度検知を可能とした。
6. 層状反転ドメイン屈曲振動子を用いたエバネッセント音波による近接センサを提案し、検知対象物の依存性が少ない極至近距離における近接度検知を可能とした。
【研究代表者】