バルク超電導体を利用した回転機の発電機運転に関する基礎研究
【研究分野】電力工学・電気機器工学
【研究キーワード】
超伝導 / 発電機 / バルク超伝導体 / 磁束ピンニング / 電動機 / 電磁現象
【研究成果の概要】
本研究は,強い磁束ピンニング力をもつ希土類系バルク超電導体に回転磁界が印加されたときの超電導体中の電磁現象の解明と,発電機への将来的な適用可能性を目指して,バルク超電導体を回転子に適用した回転機の発電機運転時の各種特性を実験および数値電磁界解析により明らかにすることを目的としている。
1.電動機モードで,ゼロ磁界中冷却後の回転子バルク超電導体に回転磁界を印加し,ヒステリシス電動機としての同期トルクに加え,同期からはずれてスリップモードに移行し,さらには停止するまでの過渡運転特性を測定した。実験結果,および等価回路や電磁界解析に基づく検討の結果、スリップ状態では,バルク超電導体中のジュール発熱による温度上昇が超電導特性および電動機特性に大きな影響を与えていることが明らかになった。
2.疑似永久磁石電動機としての運転,および発電機モードでの運転を実現するために,回転子中のバルク超電導体のバルク着磁実験を行った。ほぼ超電導体の特性限界に近い着磁はできたが,着磁の際に固定子と回転子の間に大きな電磁力が働くため,超電導磁気軸受で片側が支持された回転子が偏心する間題が生じた。
3.軸受を改善し,発電機運転モードで実験を行った。バルク超電導体は,巻線形や永久磁石形の界磁と異なり,強い反磁性の磁気ヒステリシスにより,鎖交磁束がほぼ一定という特徴を有している。また,過渡的には臨界電流を超える電流が流れることができ,安定性の高い運転が可能である。しかし,同時に温度変化に敏感であり,磁気特性の違いが顕著に現れる過渡運転時には超電導体内での発熱による温度上昇により,振る舞いが複雑であり,厳密な理論的検討は今後の課題となった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
仁田 旦三 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】2001
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)