Si基板上のInP横方向成長と長波長レーザーダイオードの試作
【研究分野】電子デバイス・機器工学
【研究キーワード】
ヘテロエピタキシ- / シリコン(Si) / 燐化インジウム(InP) / 横方向成長(ELO) / 無転位領域 / 光・電子集積回路(OEIC) / 残留応力低減 / レーザーダイオード / 液相エピタキシャル法(LPE) / ELO比 / 横方向成長法(ELO) / 有限要素法 / 空間分解フォトルミネッセンス法 / ヘテロエピタキシャル成長 / 空間分解フォトルミネッセンス測定 / インジウム燐(InP) / Si基板 / MQW構造 / VME(Vapour Mixing Epitaxy)
【研究成果の概要】
Si上の化合物半導体の結晶成長において、格子不整,熱膨張係数の違い、結晶型の違いに起因する多量の転位、および残留応力の発生は活発に研究されその初期的な解決策は示され、電子デバイス等が試作されはじめている。しかしながら、レーザーなどの発光デバイスの実現のためには、より大幅な転位密度の低減化が必須であり、長寿命化のためには無転位化までが要求される。現状では、Si上のInP中の転位密度は、10^6cm^<-2>台であり、非常に高密度である。
本研究では無転位InP単結晶層をSi基板上に成長させることを目標とし、さらには、InP無転位領域上のレーザーダイオードの試作を試みた。
無転位InP領域をSi上に成長するために、本研究では横方向成長(ELO)という手法を用いた。その結果、デバイス作製に十分な大きさを持つ(長さ700μm、幅200μm)無転位のInP層の成長に初めて成功した。さらには、LPEによるELO成長の最適化を、界面過飽和度という結晶成長に対して本質的であるところのパラメーターを実験的に定量性良く求めることにより行った。その結果、ELO成長のメカニズムに対する知見も深まり、その制御性、再現性を大きく向上することが可能になった。無転位InP層を基板として用い、レーザー構造を試作し、その光学特性をフォトルミネッセンス測定により評価したところ、InP基板上に成長したものに匹敵する非常に良好な特性を持つことが確かめられた。これは、ELO成長がデバイス作製に対し、大きな優位性を持つことを示している。さらに、有限要素法を用い、ELO層中の残留応力の解析したところ、ELO成長の残留応力低減化に対する有用性も確かめられた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
太刀川 正美 | 日本電信電話株式会社 | 光エレクトロニクス研究所 光素子研究部 | 主任研究員 |
森 英史 | 日本電信電話株式会社 | 光エレクトロニクス研究所 光素子研究部 | グループリーダー |
成塚 重弥 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
田中 雅明 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1995 - 1997
【配分額】14,000千円 (直接経費: 14,000千円)