光領域における三端子増幅素子の基礎研究
【研究分野】電子デバイス・機器工学
【研究キーワード】
光領域三端子素子 / ナノ構造 / フォトンアシストトンネル / 電子波ビート / コヒーレント超放射 / CaF_2 / CdF_2 / Siヘテロ接合 / 共鳴トンネルダイオード
【研究成果の概要】
本研究は、光領域の三端子素子の可能性として、新たに提案したナノ構造中の電子のフォトンアシストトンネルと走行電子波のピート集群による電磁波出力を組み合わせた三端子増幅素子の実現を目指し、デバイス形成のための微細構造の結晶成長と形成プロセスの確立、および、遠赤外から近赤外領域に至るフォトンアシストトンネルと電子波ビート集群効果の理論解析、観測、特性把握を行い、デバイスの増幅動作の可能性を明らかにすることを目的とし、以下の成果を得た。
素子の理論解析に関して、出力メカニズムが量子論的な集団的超放射であることに着目して、新たに量子論的解析を行うことにより、増幅動作に対する電子散乱の影響、周波数依存性、信号帯雑音比の見積もりが可能となった。素子の増幅利得は散乱により低下するが、散乱によるエネルギー広がりが光子エネルギーより小さければその影響は少なく、遠赤外〜中赤外動作が可能であるとの見積もりを得た。
デバイス形成のための微細構造の結晶成長の第一段階として、ポテンシャル障壁が高いために量子化エネルギーの尖鋭化が期待されることから、CaF_2/CdF_2/Siヘテロ接合系を選択し共鳴トンネル構造の結晶成長を行った。成長領域を100nm程度の領域に限定するナノ領域エピタキシーを提案し、これによって顕著な特性の均一化が得られるとともに、構造依存性に関する系統的な実験結果が初めて得られた。また、表面水素終端基板あるいはオフ角選択による原子ステップ制御をナノ領域エピタキシーと組み合わせることによって、この系では初めてSi(100)基板上の室温微分負性抵抗を得た。また、比較的簡単に形成できる素子構造としてヘテロ界面の二次元電子ガスを入出力のスロット線路構造で変調する構造を考案した。
これらの成果により、提案したデバイスの理論的基礎、結晶成長法および素子構造の具体的な形成方法を確立した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
渡辺 正裕 | 東京工業大学 | 大学院・総合理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】15,700千円 (直接経費: 15,700千円)