金属・絶縁体単結晶極薄膜 超高速電子デバイスの基礎研究
【研究分野】電子機器工学
【研究キーワード】
超高速電子デバイス / 金属・絶縁体ヘテロ接合 / エピタキシャル成長 / 金属シリサイド / 弗化物絶縁体 / 共鳴トンネルダイオード / ホットエレクトロントランジスタ / 共鳴トンネルトランジスタ / 金属・絶縁体極薄膜ヘテロ構造 / 弗化カルシウム / コバルトシリサイド / Si基板上結晶成長 / イオンビ-ムエピタキシ- / 超高速三端子電子デバイス / 電子波デバイス
【研究成果の概要】
本研究は、金属・絶縁体を用いた超高速電子素子を実現するための基礎研究として、原子層オーダーの金属・絶縁体超格子の物性に関する理論的・実験的な学問的基礎を確立するとともに、これを用いた超高速電子素子を形成し、その基礎特性を明らかにすることを目的とし、本年度は以下に述べる研究成果を得た。
金属・絶縁体極薄層を用いた新しい量子効果超高速デバイスを提案し、その実現のため、コバルトシリサイドおよび弗化カルシウムからなる金属・絶縁体極薄ヘテロ多重層の結晶成長技術を確立し、提案したデバイスの要素となる金属・絶縁体共鳴トンネルダイオードおよびホットエレクトロントランジスタの基本的動作をはじめて達成した。さらに、提案したデバイスの実現に必要不可欠となる金属・絶縁体量子井戸構造における共鳴準位の構造依存性を明らかにするとともに、共鳴トンネルトランジスタを試作し、そのトランジスタ動作を達成した。
金属・絶縁体量子井戸の共鳴準位の構造依存性は、3重障壁共鳴トンネルダイオードの微分負性抵抗特性の井戸幅依存性を、実験と理論で比較することにより明らかにした。井戸幅が数〜十数原子層厚における微分負性抵抗特性の実験結果は、共鳴点電圧の井戸幅による変化および観測される共鳴の個数に関して、自由電子質量を用いた共鳴準位の理論計算とほぼ一致し、これにより金属極薄膜中の共鳴準位の理論的予測と設計が可能になった。また、共鳴トンネルトランジスタでは、絶縁体中の金属極薄膜層からのベース電極取り出しを主とするデバイス形成技術の確立により、温度77Kにおいて、この材料系では初めての微分負性抵抗を伴うトランジスタ動作を達成した。以上の成果により、金属・絶縁体を用いた量子効果超高速三端子素子を実現するために必要な理論的・実験的基礎が得られた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
宮本 恭幸 | 東京工業大学 | 工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1991 - 1993
【配分額】6,500千円 (直接経費: 6,500千円)