高温動作型半導体デバイスのための酸化物半導体接合の設計
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
ヘテロ接合 / 酸化銅 / 酸化亜鉛 / 整流性 / 固溶体 / 等温過渡容量法(ICTS) / 界面準位 / 触媒 / 単結晶 / ガスセンサー / フラックス法 / 吸着 / 反応制御
【研究成果の概要】
酸化銅、酸化亜鉛のスパッタリング膜の連続製膜およびCuO、ZnO圧粉体の同時成型焼成の2種類の方法でCuO/ZnOヘテロ接合を作成した。薄膜型CuO/ZnOヘテロ接合は480Kの高温まで良好な整流特性を示した。このヘテロ接合は界面容量が電圧に依存せず、p-i-n接合の形成が予想される。薄膜型CuO/ZnOヘテロ接合は673Kの空気中の熱処理により整流性が破壊された。等温過渡容量法(ICTS)により熱処理後の試料に0.22eVの界面準位の生成を確認した。
電子デバイスへの応用の他、CuO/ZnOヘテロ接合は一酸化炭素(CO)ガスセンサー、CO酸化触媒への応用も展開された。CO酸化触媒での応用ではCOの酸化反応速度が印加電圧に依存して変動する現象が確認され、順バイアス(CuO+, ZnO-)印加で反応抑制、逆バイアス(CuO-,ZnO+)印加で反応促進がおこっていることがわかった。この現象はCuO表面のFermi準位が印加電圧に依存して変動するためであると確認され、Fermi準位の変動には、p-i-n構造が必要不可欠であることが予想された。界面でのCu^<2+>、ZnO^<2+>の相互拡散が絶縁層形成の原因であることが示唆された。酸化亜鉛へ置換固溶したCu^+と格子間固溶したCu^+_iとの間に平衡式が成り立つというモデルが予想され、Cu_xZn_<1-x>O_<1-δ>系におけるZnOへの添加CuO量xと酸素欠損量δとの間の関係式からCuOのZnOへの固溶限が求まることが明らかになった。1000℃においてCu^<2+>の固溶限はおよそ4.35mol%と見積もられた。この値はX線回折によって求めたC軸長の組成による変化より予想される固溶限(4mol%)とほぼ一致した。
【研究代表者】