近接場偏光分光法の開発とナノ磁気光学への応用
【研究分野】固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
【研究キーワード】
近接場光学顕微鏡 / プローブ / FDTD法 / 偏光 / 磁気光学効果 / カー効果 / 相変化材料 / 磁気光学 / 磁区 / 液晶
【研究成果の概要】
光ファイバをテーパー化し、遮光金属膜を塗布した後、先端に微小開口を作製することにより、NSOMプローブを準備した。開口を通して反射光をできる限り効率よく集光する必要があるため、テーパー構造の設計をFDTD法計算機シミュレーションによっておこない、2〜3倍の感度向上を確認した。設計された構造を化学エッチングによって実現し、金コートの後、開口を試料への押し付け法によって作製した。
13年度の予備実験の結果をふまえ、計測システムの改良をおこなう。偏光検出感度の向上が最重要課題であった。これまでのクロスニコル配置だけではなく、バランス検出、光弾性変調器による偏光変調検出などを試み、いずれにおいても改善を確認した。その他、ファイバの固定法や背景光除去などの細かな工夫をおこない、全体として前年度と比較して5倍程度の感度向上を達成することができた。また、半導体ナノ構造でのスピンダイナミクスの測定などを目的として、低温・磁場下にて動作するNSOMを設計し、その製作にとりかかった。
観察対象としては、GGG薄膜、ハードディスク、MOディスクなどを試みた。光源としては、アルゴンレーザ、ヘリウムネオンレーザを用いた。波長にも依存するが、いずれの試料に対しても反射配置(カー回転計測)において、100〜200nmの空間分解能を確認した。また、今回開発した高い偏光検出感度を生かし、主に開口部にて生じる偏光解消効果を利用した非磁性材料のイメージングもおこなった。ここでは相変化記録材料(DVD)の記録マーク、ならびに30nmのナノピットを観察対象とした。いずれも30nm以下の小さな開口に対しても強いコントラストが確認され、分解能も30nmが確認された。超高密度光ディスクにおけるマーク読み出し法として有望であることを示した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】2,100千円 (直接経費: 2,100千円)