構造揺らぎの深層学習への活用によるナノフォトニクス素子の高性能化
【研究キーワード】
光エレクトロニクス / 量子エレクトロニクス / フォトニック結晶 / 機械学習 / ナノフォトニクス
【研究成果の概要】
フォトニック結晶を用いて超小型でかつ高精度な分光器を実現することを目指した研究である.ナノフォトニクス素子は,つねに作製制度の問題に悩まされてきた.本研究では逆に作製誤差を性能向上に用いる.具体的には,作製した素子のランダム性に起因する光局在が波長依存性が強いことを利用して,光局在の波長に対するデータベースを構築し,そのデータベースを用いて未知の波長の入力を再構築することを目指している.当然ながら,それぞれの素子に対してデータベースを構築する必要があるが,それは従来の分光器でも行われてきた素子の波長校正に対応する作業であるので問題とはならない.
本年度は基本動作の確認と,最適化アルゴリズムを用いて,単一波長及び多波長の光を再構築できることを実証した.
単一波長の再構築は,多くの波長パタンを事前に学習しておき,機械学習アルゴリズムを用いることで,未知の波長が入力した際に,その波長を特定した.局在モードがQ値で表現すれば10の5乗のオーダであるので,数10pm入力波長が異なると,異なるパタンが得られることから,その程度の波長分解能が期待できることを示した.具体的には0.2nm以下の波長分解能を実証した.
多波長波長の再構築は,事前に単一波長での局在パタンを測定しておき,多波長はその局在パタンの組み合わせで表現できることを見出し,その組み合わせパタンを最適化アルゴリズムで求めた.この手法を用いることによって,1mmをはるかに切る素子サイズにて,0.2 nmを切る波長分解能で通信波長帯の光の波長を同定できることを示した.通常,波長分解能と装置のサイズはトレードオフの関係にあるため,このサイズでこの分解能が得られる事は特筆に値する成果であると言える.
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2023-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)