半導体トンネル磁気抵抗デバイスの基礎研究
【研究分野】電子・電気材料工学
【研究キーワード】
強磁性トンネル接合 / トンネル磁気抵抗効果(TMR) / GaMnAs / 共鳴トンネル効果 / InGaMnAs / 強磁性半導体 / 負のTMR / TMR比の振動 / トンネル磁気抵抗効果 / MnAs / トンネル磁気抵抗デバイス / スピントロニクス / 三端子デバイス / 量子効果デバイス / 分子線エピタキシー / ヘテロ構造 / スピン / 電子スピントロニクスデバイス
【研究成果の概要】
非磁性半導体や強磁性半導体を量子井戸層として有する強磁性半導体GaMnAs二重障壁強磁性トンネル接合においては、量子サイズ効果とトンネル磁気抵抗効果(TMR)を組み合わせた新しい様々な機能が実現できると期待される。しかし、共鳴トンネル効果とTMR効果が同時に起こる現象は磁性半導体ヘテロ構造においては未だ明瞭に観測されていない。本研究では、In_<0.4>Ga_<0.6>Asの非磁性量子井戸層を有するGa_<0.94>Mn_<0.06>As(20nm)/AlAs(dnm)/In_<0.4>Ga_<0.6>As(0.42nm)/AlAs(dnm)/Ga_<0.94>Mn_<0.06>As(20nm)二重障壁強磁性トンネル接合を、p型GaAs(001)基板上に分子線エピタキシー法を用いて作製した。測定温度は7.0K、磁場は面内[100]方向に印加し、10mVのバイアス電圧を印加して測定を行ったところ、反平行磁化の時の抵抗が平行磁化の時の抵抗に対して低くなる負のTMRがAlAs膜厚(dnm)が2.07nmおよび1.24nmのときに観測された。さらに、TMR比のAlAs膜厚依存性を測定したところ、TMRがAlAsの膜厚に対して、0%を中心に振動することが分かった。振動の周期は約0.8nmである。このような負のTMRとTMR比の振動が観測されたのは、磁性半導体系では初めてである。
この現象を理解するために、Luttinger Kohn k・p Hamiltonianモデルおよびtransfer matrix法を用いてGaMnAs/AlAs/InGaAs/AlAs/GaMnAs RTDにおけるTMRの振る舞いに関する理論計算を行い、実験的に観測されたTMR振動がInGaAs量子井戸における量子サイズ効果に起因することを示唆した。トンネル確率のk_<//>依存性を計算・解析することにより、負のTMRは共鳴トンネル現象が起こるAlAs膜厚よりわずかに薄い膜厚で起こることがわかった。
【研究代表者】
【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2002 - 2004
【配分額】3,000千円 (直接経費: 3,000千円)