ブレインモルフィックコンピューティングハードウェア基盤の構築
【研究キーワード】
ブレインモルフィック / 脳型計算 / 脳型ハードウェア / ニューラルネットワーク / 複雑ダイナミクス / 脳型情報処理 / ニューロモルフィック / 非線形複雑系 / 高次元ダイナミクス / リザバー計算 / ブレインモルフィックコンピューティング / スピントロニクス / 高次元複雑ダイナミクス
【研究成果の概要】
1.脳型デバイス・回路基盤の構築:スピントロニクス人工ニューロン・シナプスの材料・素子研究を行うとともに、その数理モデルを検討した。材料・素子研究については、3端子MTJ素子の基礎検討を行い、低消費電力化の知見を得た。数理モデルについては、リーク付き積分特性やスパイクタイミング依存可塑性の実験結果を概ね再現した。また、ニューロン素子に発火機構を付加するため、自励発振機能を有する共鳴トンネルダイオード(RTD)の製作プロセスの確立に向けてプラズマCVD等の条件出しを行った。さらに、CMOS回路との融合のため、基本となるニューロンCMOS回路の設計・試作・評価を行った。
2.脳型基本アーキテクチャの構築:非線形力学的解析手法により、ニューロンモデルの非周期的な応答の解析を可能とした。また、点過程を含む時系列解析手法としてアトラクタ再構成法を検討した。さらに、昨年度構築したスパイキング神経回路網モデルを解析し、神経雪崩現象を確認した。加えて、振動子系の同期・非同期現象や神経伝達物質が脳波リズムに与える影響について調査し、脳神経系の発達と学習の数理モデルを構築した。リザバーニューラルネットワーク(RNN)については、時間遅れRNNから導かれるフィッシャー情報行列の最大固有値に対応する固有ベクトルに基づく入力マスクにより、ノイズ耐性が向上することを示した。一方、応用に関しては、RNN強化学習によるロボット制御のためのモデルを構築した。また、短期シナプス可塑性によりRNNのダイナミクスを拡張し、行動計画タスクの性能を改善した。
3.脳型基本システム試作:1.のデバイスを応用し、2.で提案するアーキテクチャを集積回路として実装するための基本的な準備として、1.で述べたスピントロニクス素子とRTD素子およびCMOS回路を融合させるための基本的な枠組みについて検討した。
【研究代表者】