スピン制御による半導体超構造の新展開
【研究分野】電子・電気材料工学
【研究キーワード】
半導体超構造 / スピン / III-V族化合物半導体 / II-VI族化合物半導体 / エピタキシャル成長 / 強磁性体 / 量子サイズ効果 / 交換相互作用 / III-VI族化合物半導体 / II-V族化合物半導体
【研究成果の概要】
研究目的:これまで個別に進められてきた半導体超構造におけるスピンに関する材料、超構造作製、測定、理論の研究を総合的有機的に結びつけることによって、(1)スピン物性の顕著に発現する半導体超構造の作製法の確立し、(2)半導体超構造におけるスピン物性を解明して、(3)スピンという新しい自由度を利用した半導体超構造の応用の可能性を明らかにする。
研究経過:III-V族化合物半導体、II-VI族化合物半導体、磁性不純物添加半導体をとりあげ、新しい磁性半導体の開発や、メゾスコピック領域も含めた超構造のスピン物性を明らかにする理論並びに実験を進めた。研究成果は平成9年1月27-28日に開催された公開の研究会にて発表した。
平成7-8年度の研究成果としては、次のものが特に重要である。
1.シリコン上への磁性体のエピタキシャル成長
半導体LSIの中心材料であるSi(001)上に、室温で強磁性を示す金属間化合物(MnAsなど)をエピタキシャル成長することに初めて成功した。
2.GaAsベースの新しい希薄磁性半導体:(Ga,Mn)As
世界に先駆けてGaASベースの(Ga,Mn)AsをGaAs上に成長することに成功し、(Ga,Mn)Asがキュリー温度110K以下で強磁性体であることを明らかにした。また(Ga,Mn)Asベースの超構造の成長にも成功した。
3.半導体超構造による磁性原子の交換相互作用の制御
磁性原子中の電子スピン間の交換相互作用が、半導体超構造における量子サイズ効果によって制御可能であることを理論的に示した。
4.自由磁気ポーラロンの確認
これまで無いとされてきた自由磁気ポーラロンの存在を実験的に明らかにした。
【研究代表者】