熱マネージメントに向けた酸化物半導体ナノ粒子界面のプラズモン・フォノン機能制御
【研究キーワード】
酸化物半導体 / ナノ粒子薄膜 / 赤外域 / 熱輸送 / 表面プラズモン / ナノ粒子 / 赤外領域 / 反射遮熱 / フォノン / 熱伝導 / 機能制御 / 熱マネージメント / 固液界面
【研究成果の概要】
省エネ社会に向けて、窓から侵入する赤外光(太陽熱・輻射熱)を効率よく遮蔽する透明遮熱技術が必要である。本申請者は、赤外表面プラズモンを示す透明酸化物半導体ナノ粒子に着目して、赤外域で共鳴反射を持つ透明反射遮熱フィルムの創出を目指す。特に、透明反射遮熱技術の光学的特性(反射・吸収)が、どの程度の熱量や熱物性(日射熱・輻射熱など)を実際に制御できるのか、社会実装に向けて明らかにする必要がある。故に、従来技術の延長では解決できないエレクトロクロミック(機能性窓)やナノ粒子界面の光熱制御に基づいた新しい熱基盤制御材料に関する研究開発を本課題の目標とした。初年度(2021年度)は、本課題で開発した酸化物半導体ナノ粒子薄膜の赤外域の共鳴反射と遮熱性能の評価を実施した。更に、断熱性能に関しては、時間分解熱反射分光計測を用いた熱伝導率評価を実施した。故に、酸化物半導体ナノ粒子界面の光学的及び熱学的性質を理解し、熱流入(熱放出)に関係する光熱物性を調査した。
Sn-doped In2O3 (ITO)ナノ粒子薄膜の表面プラズモン制御は、日射熱に対する遮熱効果に寄与した。測定試料には、スピンコーティング法を用い、次元的に積層制御したナノ粒子薄膜を利用する。日射熱取得率は、日射熱が窓から室内側へ流入する比率を意味し、可視・近赤外の透過・反射率の積分球(全方位)計測とR3106(JIS規格)に基づいて実施した。結果として、可視透過率:70%以上、近赤外反射率65%、日射遮蔽係数は0.61を実現した。更に、断熱性能を決める熱輸送に関する熱物性評価を行い0.16[W/m2.s]の低い熱伝導率を達成した。この低い熱伝導率は有機材料に匹敵し、ITOナノ粒子薄膜が高い断熱性能を持つことを実証した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
依田 秀彦 | 宇都宮大学 | 工学部 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
J・J Delaunay | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)