エピタキシャル薄膜が実現する二次元NbO2超伝導面の解明
【研究キーワード】
超伝導 / 強相関電子系 / 電気化学 / リチウムイオン電池 / 二次元物質 / 酸化物エレクトロニクス / エピタキシャル薄膜 / 超伝導ドーム / 遷移金属酸化物 / 透明導電体 / Liイオン電池 / エピタキシャル成長
【研究成果の概要】
本研究は,二次元NbO2超伝導層の全貌を明らかにする研究である。初年度である昨年度には,その舞台となる二次元NbO2層を持つLi1-xNbO2の薄膜合成法を確立し,電子構造と二次元超伝導の観測に成功した。その結果,本研究の第一の目標である"NbO2超伝導層が理想的である"ことが証明され,本年度にPhysical Review B誌に原著論文が掲載された。
また本年度は,第二の目標である"NbO2超伝導層の全貌を解明する"ことに尽力した。その結果,以下の成果が得られた。
①[Li1-xNbO2電気化学デバイスの作製] 合成に成功したLi1-xNbO2エピタキシャル薄膜を電極としたLiイオン電気化学デバイスを作製した。そのデバイスに対して電圧を印加するとLiイオン電池の充電/放電反応が起こり,薄膜に含まれるLi量が連続的かつ可逆的に変調できることが明らかとなった。その結果,Li量xが様々かつ精密に調整されたLi1-xNbO2が同一試料で実現し,NbO2層の物性を詳細に調べられるようになった。
②[NbO2層における電子相の解明] Li1-xNbO2の物性のLi量依存性を調べると,本物質はバンド絶縁体からフェルミ液体金属を経由し,最終的に非フェルミ液体状態へと転移し超伝導ドームを生じることが明らかとなった。これは二次元NbO2三角格子にホールキャリアが導入されていくにつれて電子相関が増していき,その結果として超伝導ドームが生まれるという銅酸化物高温超伝導体の電子相図と対応する結果である。更に,近藤効果の発現など二次元NbO2三角格子に特有な現象も観測された。これらの結果は本研究の第二の目標である"NbO2超伝導層の全貌を解明できた"ことを表している。
これらの結果は原著論文としてまとまりつつあり,次年度に投稿予定である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)