言語獲得理論に基づく小学校英語教育の高度化学習プログラムの開発
【研究キーワード】
小学校英語 / フィラー / 方略的能力 / 英語スピーチ / 携帯型翻訳機 / 没入 / 意図理解 / 言語獲得理論 / 他者理解 / テンプレート
【研究成果の概要】
本研究は、小学校英語教育の学習内容を充実させるため、児童が「本当に言いたいこと」を英語で話す体感的な英語学習の開発を目的とするものであり、この目的のもとで2021年度は2つの取り組みを展開し、次のような成果を得た。
第1は、学習者(児童)の現実の意図を含んだダイアログを作成し、フィラー表現と併せて練習を行うものである。英語の会話練習が機械的な「お芝居」になってしまう原因には、他人の書いたセリフを覚えて役割を演じなければならない不自然な場面設定があるという認識のもと、これを克服するため、実際のオンラインゲームを友人と楽しむ場面を設定した上で、Guess what などの定型句を用いて会話の開始時における方略的能力を活性化するとともに、フィラー(filler)としての Lemme-see 等を導入することで、発話が詰まっても会話が停止しないようにした。結果、児童自身だけでなく指導者も学習の充実感を体験することができた。
第2は、児童自身が各自で作成したオリジナルの短い原稿を英訳し、1人ずつ自分だけの英語スピーチを披露するというものである。具体的には、「6年間を振り返って」というテーマを示して日本語で短い原稿を作成した上で、携帯型自動翻訳機(ポケトーク)を用いて児童自身が直接英訳し、そこに、近似カナ表記をつけることで public speech に挑戦した。この実践において、児童が発話した英語は児童自身が自ら作成した内容であり、児童は、(他人が作ったセリフではなく)自分が本当に言おうとした内容を自力で英語にし、自分だけの英語でスピーチしたという成功体験を持つことができた。
【研究代表者】