量子井戸構造に基づく2次元金属薄膜への磁気機能の誘導とその応用展開
【研究分野】ナノ構造物理
【研究キーワード】
量子井戸 / 配向超薄膜 / Pd薄膜 / Pt薄膜 / 強磁性発現 / 電場による磁化制御 / 歪みによる磁化制御 / 磁気異方性制御 / 磁化の電気的制御 / 磁化の歪みによる制御 / Pd, Pt超薄膜 / 磁化制御 / 遷移金属 / 磁性 / 量子井戸構造 / 磁気機能制御 / 非磁性遷移金属超薄膜 / 磁性制御 / 超薄膜 / 表面・界面物性 / Pd超薄膜
【研究成果の概要】
(100)PdとPt薄膜の磁気状態を実験および電子構造計算により検討した。両試料で量子井戸状態の形成に伴う膜厚に依存した強磁性が発現し、その機構を明らかにした。
半導体化した基板とPdの間に形成されたショットキー障壁の電場による変調、強誘電体基板上のPd薄膜への歪みの印加などの手法による量子井戸状態の変化を用いて磁性を変調できることを示した。Pd上にFe薄膜を堆積し、Pd膜厚を変化することで量子井戸状態変化によるFeの電子状態変調に伴う磁気異方性変化を観測した。
量子井戸を変調することで、非磁性物質に強磁性を人工的に付与し、その磁気状態および近接金属の磁性を外的に制御できることを明らかにした。
【研究の社会的意義】
磁気記録などでの低消費電力化を目指すために外場(電場、歪み等)による磁性制御が希求され関連した多くの報告があるが、その基本原理が十分には明確にされてない。本研究では、Pd、Ptなどの交換増大された金属薄膜に形成される量子井戸構造に注目し、非磁性金属への磁気機能の付加とその制御と磁化配向の操作を実現するための学理の構築を目指した。量子井戸状態を電場・歪み等により操作して、 (100)Pd、Pt薄膜への強磁性付加とその磁化制御、これらの膜に近接した強磁性Fe薄膜の磁気異方性制御を実現した。これより情報機器やシステム構成機器の超低消費電力化、高機能化などの革新的な磁気応用技術への展開が現実となる。
【研究代表者】