量子ドットにおける電子スピンのコヒーレント制御の研究
【研究分野】応用物性・結晶工学
【研究キーワード】
コヒーレント制御 / 電子スピン / 量子ドット / 円偏光 / 緩和時間 / 励起子 / 寿命 / 緩和機構 / 量子演算 / 光スイッチ / 時間分解発光 / スピン緩和
【研究成果の概要】
15層積層したInAlAs/AlGaAs量子ドットを試作、非共鳴励起下でのスピン緩和測定を試みた。実験は発振波長780nm、パルス幅80fsのチタンサファイアレーザーを励起パルス光源とし、右回り円偏光(σ+)パルスで試料を励起し、その発光のσ+成分と左回り円偏光(σ-)成分を分けてストリークスコープを用いて時間分解発光測定した。分光器の入射スリット手前に1/4波長板と偏光子を置き、発光を一度直線偏光に変換し、偏光子により水平および垂直直線偏光発光成分を分けて測定することで発光の偏光を識別した。試料は、10Kに冷却した。励起エネルギーと検出エネルギーとの差はおよそ100meVである。直線偏光励起での時間変化は単一指数関数で良くフィッティングでき、励起子の寿命(再結合時間)は約1.18nsと見積ることができた。σ+成分とσ-成分との差の減衰はスピン緩和時間をτ_sとするとexp(-2t/τ_s)で与えられる。これから得られたスピン緩和時間τ_sは1.31nsとなり励起子再結合時間と同程度となることが分かった。2次元量子井戸に比べて非常に長いスピン緩和時間となっており、井戸で有効なスピン緩和機構が量子ドットでは消失したと解釈できる。量子ドットが電子スピンのコヒーレント制御に好適な材料であることが確認できた。
次世代のスピントロニクス材料としてワイドギャップ半導体およびポリフェニルアセチレン(PPA)の磁気的性質を調べた。PPAではスピングラス的な磁気的性質に加えて、磁場-磁化(M-H)曲線が閉じないことなど極めて興味深いスピン物性を示すことが明らかとなった。
【研究代表者】