層状物質とその局所構造におけるフォノン関連物性の理論解析
【研究キーワード】
層状物質 / フォノン / 電子フォノン相互作用 / 第一原理計算 / 機械学習
【研究成果の概要】
層状物質のフォノン物性の解析に向け、第一原理計算および第一原理計算データに基づく機械学習原子間ポテンシャルを用いた研究を前年度までに引き続き進め、以下の成果を得た。
まず、アモルファスカーボンの熱伝導特性を第一原理分子動力学法により解析した。熱伝導率が密度と共にほぼ線形に増大するという強い相関関係を見出した。さらに、sp/sp2/sp3結合の比率およびこれを反映した構造のトポロジカルな特徴が密度と強い相関を示すことを見出した。さらに、これらの構造的特徴がパーシステントホモロジー解析で定量化でき、これを用いて熱伝導率に対する線形回帰モデルを構築できた。
次に、機械学習ポテンシャルを用いたフォノン関連物性の解析に関しては、点欠陥の荷電状態の違いを考慮したニューラルネットワークポテンシャル(NNP)を開発し、このNNPにより欠陥を含む系のフォノンバンド構造もよく予測できることを示唆する結果を得た。またこの過程で、窒素空孔を含む窒化物半導体のフォノンバンド構造が空孔の荷電状態により大きく変化することを見出した。
さらに、本研究で用いてきた全結合型NNPとは異なるNNPが近年いくつか提案され、その中にはエネルギーや力に対する予測精度が本研究で用いているNNPを上回る可能性が報告されているものがあることに鑑み、有望なNNPに対しフォノンバンド構造の予測精度の評価を行った。畳み込みネットワークを用いたNNPがLi3PO4やGaNのエネルギー・力の予測で本研究で用いてきたNNPを上回る性能を示し、GaNのフォノンバンド構造についても同等以上の性能を示すとの結果を得た。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
南谷 英美 | 分子科学研究所 | 理論・計算分子科学研究領域 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
清水 康司 | 東京大学 | 大学院工学系研究科(工学部) | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)