多層積層構造超LSI形成時の残留応力解析と超音波を用いた信頼性評価技術の開発
【研究分野】材料力学
【研究キーワード】
LSI / 多層積層 / 残留応力 / 薄膜 / 超音波 / X線 / 超音波顕微鏡 / 超LSI / 力学的特性 / 表面波 / 音速
【研究成果の概要】
高集積度を達成可能な3次元デバイス作成法として有望視される多層積層構造LSIでは、Si基盤上に多種材料を積層する構造であり、積層時に生じる残留応力がき裂を発生・進展させることでLSIの信頼性を低下させる。このため、本研究では超音波顕微鏡を用いて薄膜の力学的特性値を実測し有限要素法を用いて残留応力を解析し、薄膜多層積層構造の信頼性解析手法を確立することが目的である。そこで、超音波顕微鏡を用いて薄膜が基盤上にある場合の表面波速度を解析し、その実測値から薄膜弾性係数を測定する手法を開発し、実際にLSI薄膜を模擬した3種の基盤上にAl薄膜とSio_2薄膜を形成した試験片を作成してこの試験片に適用した。その結果、薄膜厚さが2μm程度以上であれば、超音波顕微鏡の超音波レンズ周波数を変更して実測した表面波速度から、薄膜の弾性率が実測できることが明らかになった。また、実測結果から、アルミニウム薄膜の場合、弾性係数はバルク値より10%程度低下していることが明らかになった。さらに、微小X線応力測定装置を用いて、界面の残留応力分布を測定した結果、接合界面の残留応力の応力特異性が実測できたが、ばらつきが大きく、このばらつきは界面の接着状態に起因することが明らかとなった。有限要素法で残留応力分布を解析した結果、2次元で解析した結果と3次元解析した結果は大きく異なるが、3次元解析の表面残留応力分布は平面応力解析と平面ひずみ解析の重ね合わせで得られることが明らかとなった。また、超音波顕微鏡を用いて、内部損傷評価を実施し、アルミニウム合金の内部塑性変形が超音波で検出可能であることを実験的に示し、超音波顕微鏡による3次元超LSIの非破壊評価手法を提案した。
【研究代表者】