フラーレン固体の物性と電場効果の研究
【研究分野】固体物性Ⅰ(光物性・半導体・誘電体)
【研究キーワード】
フラーレン / ナノチューブ / ナノエレクトロニクス / 水素吸蔵
【研究成果の概要】
フラーレン・ナノチューブ系は、今世紀の最重要研究領域の一つであるナノサイエンス・ナノテクノロジーにおける中心物質としてその物性研究・応用研究が先進各国で進められている。
本研究課題においても、それらの電子構造・物性・安定性を中心に、多様な側面を理論的に研究し、新たな物性発現の可能性を探っている。本年度は、フラーレンがナノチューブに内包された、いわゆる「ピーポッド」と呼ばれる系のエネルギー論にもとづく安定度を、密度汎関数法により求めた。外枠のナノチューブの直径の関数として、内包時に得られるエネルギー利得を求めることにより、最も安定なピーポッド系のサイズを予測する事に成功した。ピーポッド同様、ナノチューブ内の一次元空間に物質を内包する系の研究において、さらに、下記の成果を得ることができた。
(1)カリウム原子列を内包することにより、新たな伝導バンドがフェルミ準位に出現し、伝導に寄与する。
(2)水素分子、メタン分子の吸着におけるエネルギー利得の予測値を得た。
(1)の成果は、ナノエレクトロニクスにおけるナノチューブ系の新たな可能性を示すものと位置づけられる。また、(2)の成果は、クリーンエネルギーが求められる中、水素エネルギー活用の為の水素吸蔵物質、さらには、燃料電池等への応用が期待されているカーボンナノチューブの基礎的特性を与える成果と位置づけられる。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
三宅 隆 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2002 - 2003
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)