メタノール転換におけるゼオライト触媒構造と反応の関係の解明と触媒デザイン
【研究キーワード】
ゼオライト / MTO反応 / 反応解析 / オレフィン合成 / 過渡応答 / 反応メカニズム / 触媒
【研究成果の概要】
多様な天然資源の利用と石油プロセスからの脱却を目指し、基礎化成品の製造プロセスが見直され始めている。近年、ゼオライトを触媒としたメタノール転換オレフィン生成反応が注目されている。触媒の構造・性質によってオレフィン類の選択性が変わるが、未だ高選択性を示す触媒の設計は困難である。本申請研究では、ゼオライトの細孔構造と、オレフィン生成反応の主要中間体・主要反応経路との対応関係を明らかにすること、そして活性点位置を制御した合成を行い、高選択性を有するオレフィン生成触媒を提案する。
2021年度にはモデル触媒(MFI型ゼオライト)に対して過渡応答測定を実施した。MTO反応に有用な触媒として広く知られているZSM-5ゼオライト触媒はMFI型の骨格構造を有しているが、その内部の酸点分布は合成法によって異なることが知られている。今回は骨格構造の影響を排除し、反応空間の影響を抽出して調査するため、異なる酸点分布を有するアルミノシリケートゼオライトであるZSM-5(MFI型)をモデル触媒として調製した。構造規定剤としてテトラプロピルアンモニウムを用いた場合には細孔交点に、トリメチロールエタンおよびナトリウムを用いた場合には細孔に、酸点が多く分布していることをモデル炭化水素のクラッキング反応によって確認した。みかけのMTO反応特性である生成物選択性にほとんど差が見られなかったのに対し、それぞれの触媒について過渡応答測定を実施したところ、プロピレン生成過程において明らかな違いが見られた。
次年度においてはこれらの違いについて、プロピレン生成のメカニズムと細孔構造との関連性に着目しながらより詳細に調査する。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)