遷移金属を添加した酸化物の磁性スイッチング素子の開発
【研究分野】無機工業材料
【研究キーワード】
ニ酸化チタン / 電界効果 / トランジスタ / 二酸化チタン / 希薄磁性半導体 / スピントロニクス
【研究成果の概要】
本研究では遷移金属添加酸化物の磁性デバイス開発として、遷移金属添加二酸化チタンを対象とし
・電界効果を用いたクリーン・連続的・可逆的な磁性制御を目的としている。
具体的な課題としては1高品質二酸化チタン薄膜の作製2ボトムゲート型電界効果デバイスの作製の2点を挙げることができる。
LaAlO_3単結晶(001)面上に二酸化チタン薄膜を成長させる際に酸素分圧を断続的に変化させることによって、高結晶性かつ低酸素欠損の二酸化チタン薄膜の作製に成功した。さらにトップゲート型の電界効果トランジスタ構造を作製し、電界効果移動度0.3cm^2/Vs.on/off比10^5と良好なトランジスタ特性が得られた。一方、磁気光学効果を用いた磁性評価や光機能との複合化を図るには、活性層である二酸化チタン表面が露出したボトムゲート構造の電界効果デバイス開発が必要となる。そのキーポイントはエピタキシャル絶縁層である。電界効果を利用するための絶縁層としての機能だけでなく、その上に成長させる二酸化チタン薄膜のテンブレートともなるため、その品質は重要である。導電性基板であるNb:SrTi0_3(001)上にLaAlO_3エピタキシャル絶縁層を作製し、さらに活性層であるTiOz, Al電極と堆積させ、ボトムゲート型のTiO_2,電界効果デバイスを作製し、電界効果移動度0.04 cm^2/vs,on/off比10^4と明瞭なトランジスタ動作を成し遂げた。しかし、デバイス動作は可能なものの、エピタキシャル絶縁層の品質は高くはない。結果として、Co添加TiO_2,薄膜の磁性スイッチングの確認には至らなかった。エピタキシャル絶縁層のさらなる高品質化、特に表面モフォロジーの改善が望まれる。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究(B)
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】3,700千円 (直接経費: 3,700千円)