インテリジェント機能性繊維による赤外線検知
【研究分野】無機工業化学・無機材料工学
【研究キーワード】
炭化ケイ素繊維 / 炭素繊維 / 赤外線センサ / 人体検知 / 半導性繊維 / 炭化硅素繊維 / カ-ボン繊維 / 半導体繊維
【研究成果の概要】
高速応答および定常照射光の検知など、従来にない優れた赤外線検出機能を持つインテリジェント機能性繊維材料とセンサデバイスを開発し、特性評価と実用化を試みることを目的に研究を行い、以下の成果が得られた。まず、各種繊維材料の物性比較評価を行った。デイバス化して大きな出力感度を得るには、適度な大きさの電気比抵抗と大きなサ-ミスタ定数が必要となる。カ-ボン繊維と炭化ケイ素繊維では、カ-ボン繊維が同じ比抵抗で大きなサ-ミスタ定数を示すこと、さらに、カ-ボン繊維の中でも原料にPAN(ポリアクリロニトリル)を用いたものがピッチを用いたものよりも大きなサ-ミスタ定数を示すことが明らかになった。また、合成条件の検討により、コイル状のPAN系カ-ボン繊維の合成が可能となった。一方、より精細なセンサデバイスの作製のため、単繊維を用いたセンサ素子の試作を行った。その結果、従来の多数本の繊維を用いた場合と同様な赤外検出特性が得られ、それに加えて、繊維直径が細くなるほど応答速度が向上すること、出力電圧は熱源温度の増加、周囲温度の減少とともに増大することが明らかとなった。赤外線センサの実用化に向けて、センサ特性の安定性、特性のバラツキについての評価を行った。カバ-をつけたセンサユニットにおいては、周囲温度の変動の影響を少なくするために熱容量の大きい金属板と熱伝導の少ない保護膜を取り付けることにより、高速応答に加え、数時間の赤外線照射でも出力変動の無いセンサ特性が得られた。さらに、同じ原料と同じ条件で作製された繊維を用いることにより、素子間による特性のバラツきを著しく減少させることができた。将来の、熱源位置評定および熱源形状認識の機能の実現化のために、連続長繊維に多くの電極を取り付けた素子を考案し、赤外線検出エリア推定やセンサ信号処理回路の検討を行った。より高出力の長繊維の開発により、実現可能と考えられた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
梶原 貞次郎 | 総合警備保障(株) | 技術研究室 | 主任研究員 |
市川 宏 | 日本カーボン(株) | 研究所 | 所長 |
中村 吉伸 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
宮山 勝 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】試験研究(B)
【研究期間】1990 - 1991
【配分額】6,700千円 (直接経費: 6,700千円)