エレクトロセラミックスの化学的誘起粒界形成のダイナミクスのその場観察と形成機構
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
エレクトロセラミックス / 微構造 / 液相 / 粒界形成ダイナミクス / 薄膜 / バリスタ / 酸化亜鉛 / 酸化ジルコニウム
【研究成果の概要】
粒界に粒とは異なる化学成分をもつ相が存在することはセラミックス焼結体ではよくあることである。特にエレクトロセラミックスの分野では液相焼結による生産が行われる。本研究は粒界層に液相が生成し、粒界相を形成するプロセスに注目し、主に化学的立場から粒界相の形成過程のダイナミクスを研究し、粒界相が液相焼結以外にもエレクトロセラミックスの機能発現や物性変化に関与していることを明らかにしている。
研究は主にZnO-PrO_<2-x>系バリスタの粒界相の形成について実施した。その結果、
(1)ZnO-PrO_<2-x>系の状態図を完成し、互いに固溶域のない共晶型状態図で、共晶温度は等モル域で1328℃であった。
(2)ZnO-PrO_<2-x>系バリスタでは液相(共晶)生成を境にして粒界移動が容易になり、粒成長が起こる。
(3)液相の粒界への存在は酸素分圧によって変化し、酸素下では表面に液相が多い。逆に窒素中では表面に液相が集まる。
(4)CoOを添加することにより液相生成温度が100℃以上低下する。
(5)ZnO焼結体の表面にPrO_<2-x>を塗布すると、粒界に選択的に注入され、粒界相を形成し、バリスター特性が発現した。
更に、本研究ではこれまでの液相生成現象を総括し、液相が焼結現象以外に与える影響について考察した。その結果、化学的に生成した粒界相は粒との化学的相互作用を通じて、イオンの出入り、酸化還元反応、外部気相との作用など複雑に変化していることが分かった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
脇谷 尚樹 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
篠崎 和夫 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1997 - 1999
【配分額】14,000千円 (直接経費: 14,000千円)