ナノ構造制御による新規な液体用高分子分離膜の設計
【研究分野】化工物性・移動操作・単位操作
【研究キーワード】
膜のナノ構造 / ポリビニルアルコール / 鹸化度 / ベンゼン / シクロヘキサン / 液体用分離膜 / 膜膨潤 / フローリーハギンス式 / ナノ構造 / 有機液体分離 / トルエン / メチルシクロヘキサン / ケン化度
【研究成果の概要】
ポリビニルアルコール(PVA)をベースとした有機液体用高性能分離膜のナノ構造制御について検討した。ブレンドおよび鹸化によるPVAのケン化度制御と製膜、ベンゼン(Bz)/シクロヘキサン(ChX)および物性の類似したトルエン(TOL)/メチルシクロヘキサン(MCX)を対象とした分離性能評価(浸透気化法、PVと略称)を行い、一方で、膜内収着量測定、熱測定による結晶化度評価など膜の構造・特性についての評価を行った。さらにこれらの結果をもとに、膜膨潤に与える膜内外圧力差、網目による弾性の効果をフローリーハギンス式をもとに検討した。また膜強度向上の観点から、新たなPVA架橋方法について検討した。
1.市販の低ケン化度PVA素材をケン化して製膜し(単独膜)、あるいは2種の市販PVA素材をブレンドして平均ケン化度の異なる種々のPVAブレンド膜を調製した。これらの膜でBz/ChX混合溶液のPV分離を行い、平均ケン化度69%の膜が高い分離性能を示すことを確認した。
2.単独膜、ブレンド膜についてBz/ChX混合溶液での膜内溶解量を測定し、この種の膜でのPV分離性能は溶解性が支配的であることを明らかにした。
3.ブレンド膜について、TOL/MCX系での分離実験を行い、Bz/ChX系とほぼ同様な結果を得た。
4.以上の結果をもとに、膜のナノ構造と分離性能の関係についてモデル的な検討を行い、網目の弾性効果を考慮することで膜性能予測が可能であることを明らかにした。
5.PVA膜の熱架橋条件について検討を深め、比較的温和な条件での熱架橋とこれにもとづ耐水化が可能であることを明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
松井 誉敏 | 静岡大学 | 工学部 | 研究員 | (Kakenデータベース) |
山口 猛夫 (山口 猛央) | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2003 - 2005
【配分額】5,200千円 (直接経費: 5,200千円)