性行動制御機構における縫線核の機能解析
【研究分野】生物形態・構造
【研究キーワード】
性行動 / 背側縫線核 / 正中縫線核 / セロトニンニューロン / 抑制機構 / ロードーシス / 性分化 / ラット / マウント / 中脳縫線核 / セロトニン / PCPA / プロゲステロン / 抑制神経機構 / 神経線維切断 / エストロゲン / 中脳背側縫線核 / 中隔
【研究成果の概要】
本研究では雄ラットと雌ラットの中脳背側縫線核と正中縫線核が雌型性行動(ロードーシス)と雄型性行動(マウント-挿入-射精-勃起)発現にどのような働きをもつか調べた。。
その結果、雄ラットの背側縫線核を破壊するとロードーシスをするようになることから、背側縫線核に強い抑制力が存在することが示された。また、セロトニン合成阻害剤投与や神経線維持切断実験により背側縫線核の前・腹側部から前脳に行くセロトニンニューロンがロードーシス抑制力を運ぶことが明らかになった。雄ラットの背側縫線核ともう一つの制御機構のある中隔の複合手術により両制御を除去すると単独手術の場合よりロードーシスが強くなることから、中隔と背側縫線核の制御機構はお互いに独立して働いていることが示された。この結果は背側縫線核の抑制力の前脳における修飾部位は中隔以外であることを示すものである。γアミノ酪酸はロードーシス発現の抑制力をもつが、その機能が背側縫線核の抑制機構に依存していることも明らかになった。
雄型性行動に関しては背側縫線核より正中縫線核の働きの方が顕著であり、雄ラットでは射精行動に抑制的に働いている可能性が示唆された。さらに、雌ラットにおいても正中縫線核の破壊は雄性行動の開始を早めることから、抑制的な役割をもつものと考えられる。正中縫線核の雄性行動抑制力もセロトニンニューロンの働きであることが確かめられた。このように、本研究により雌の性行動は背側縫線核、雄の性行動は正中縫線核が抑制的に制御を行なっていることが明らかになった。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1993 - 1995
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)