熱プラズマによるフロンの分解
【研究分野】化学工学
【研究キーワード】
熱プラズマ / フロン分解 / 平衡組成 / 数値解析 / フロン / 熱プラズマ分解 / 水素添加 / 酸素添加
【研究成果の概要】
環境問題となっているフロンの熱プラズマ分解について検討した。まず、反応系を概観するため、平衡組成の計算を行った。計算した反応系はCーClーF,CーClーFーH,CーClーFーO,CーClーFーHーOの4種類を考えた。これらはそれぞれフロンのみの分解、水素を添加して分解した場合、酸素を添加した場合、水素と酸素の両方または水を添加した場合に対応する。この際に考慮した化学種は73種である。計算の結果、水素と酸素(または水)を添加した場合はFはHFと、ClはHClとなり、C成分はCOまたはCO_2となって安定に存在し、これらの生成物は処理が簡単なことから、フロンの分解は水素と酸素を同時に添加することが望ましいことが推測された。次にこの分解条件における軸方向1次元の速度、温度、濃度分布を仮定した速度論的解析を行った。計算に考慮した化学種は26種で60の素反応を仮定した。計算の結果、反応ガス流量比がいかなる場合でもCCl_2F_2はすぐに分解し、さらにガス流量比がCCl_2F_2:H_2:O_2=1:2:1の場合、最終生成物はCO,CO_2,H_2O,HF,HCl,Cl_2、またCCl_2F_2:H_2:O_2=1:2:0.5の場合、最終生成物はCO,HF,HClとなった。また水を添加した場合(CCl_2F_2:H_2O=1:2)の結果は、CCl_2F_2:H_2:O_2=1:2:1の結果と同様であった。さらにCl_2の生成抑制には過剰のH_2が効果的であった。実験は、DCプラズマジェットを用いて水素、酸素とともに規制対象であるフロンー12(R12)の分解を行った。その結果、R12のピ-クはガスクロで検出されず、分解が完全に行われていることが確認された。そしてCO_2やCOの転化率は数値計算結果とほぼ一致したが、HF,HCl,Cl_2の定量が困難なため結果の比較ができず、これについて今後さらに検討する必要があると考えられた。以上総括すると、フロンの熱プラズマ分解は腐食性の強いガスが生成されるものの大量に短時間に処理できる方法として十分に有効であると考えられた。
【研究代表者】