機能性小分子・タンパク質ペアを利用したがん蛍光イメージングの新手法
【研究キーワード】
蛍光プローブ / 機能性タンパク質 / がん / イメージング / 蛍光イメージング / 機能性小分子 / がんイメージング / 機能性蛋白質
【研究成果の概要】
本研究課題において、我々は、機能性小分子と機能性タンパク質を協奏的に利用する独自のアプローチをとることで、①がん表面の抗原に結合して迅速かつ大きなactivationを示す蛍光プローブ ② bioorthogonalな蛍光プローブとレポーター酵素のペアを利用した、新規がん蛍光イメージング法 を開発することを目指している。
①に関して、我々は、昨年度までにモデル抗原であるGFPに結合するだけで10倍以上の蛍光上昇を示すプローブの創製に成功すると共に、質の高いタンパク質-小分子蛍光団のハイブリッドプローブを作る反応条件の最適化を進めてきた。本年度は、これまでに得た知見を利用して、がん表面抗原として知られるEpcamを認識して大きなシグナルの増強を示す蛍光プローブのスクリーニング・開発を新たに進め、Epcamに結合するだけで7倍以上の蛍光上昇を示すプローブの開発に成功すると共に、これが生細胞でのイメージング系に適用可能であることを明らかにした。
②に関して、我々は昨年度までに、D-Fucoseを有する蛍光団と、メタゲノム由来のグリコシダーゼTd2F2をbioorthogonalなプローブ・酵素ペアとして確立し、このペアのがんイメージングに対する有用性を示してきた。本年度は、Td2F2の活性を一細胞レベルでモニタリングすることが可能なプローブSPiDER-D-Fucを新たに開発し、これを用いてTd2F2のdirected evolutionを行うことで、がんイメージングにより適した特性を持つようにTd2F2を改変することを目指した。結果、野生型の酵素と比較して、大幅に活性が上昇した変異体や、酸性環境で活性が顕著に上昇する変異体を取得することに成功した。さらに、培養細胞系において、取得した変異体を利用することで、より鮮明ながん細胞イメージングを可能になることを見出した。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)