触媒ナノ界面の3次元原子電場構造解析
【研究キーワード】
不均一触媒 / ナノ界面 / 3次元構造解析 / 原子分解能電子顕微鏡 / 貴金属ナノ粒子 / 3次元電子顕微鏡法 / 微分位相コントラスト法 / 触媒ナノ界面 / 先端電子顕微鏡法 / 深さ断層法
【研究成果の概要】
酸化物基板に担持された貴金属ナノ粒子は代表的な不均一触媒であり、有害なガスの非毒化や排ガスの処理に広く利用されている。これまでに、新たな担持材料の探索および単原子レベルで貴金属を分散するなどの技術開発の積み重ねにより、触媒の安定性、特性および適応範囲は大きく改善された。しかし、触媒活性点(原子サイト)や触媒発現・劣化機構などの基礎的な問題については未だ不明な点が多く残されている。触媒材料の新展開にはこれらの問題に対する本質的な理解が必要不可欠である。劣化機構の中でも、70年代に提案された強い金属・担体相互作用(SMSI: Strong Metal Support Interaction)が現象としては広く受け入れられているものの、原子レベルでの劣化機構としては、議論の余地が残されている。今年度は代表的なTiO2/Pt系に注目し、還元雰囲気での加熱による触媒劣化の原因を探求した。
電子顕微鏡中で加熱を行い、白金ナノ粒子の粒径および積層構造を原子分解能観察により解析したところ、温度の上昇に伴い積層構造が変化することが明らかとなった。また、粒径は単に大きくなるだけではなく、粒径の分散も大きくなることが明らかとなった。積層構造との関連があり、格子整合度の低い高次の積層構造の場合は粒成長が抑制される傾向にある。また、高温領域(700℃)では、基板に含まれるTiとの合金化が進み、Pt-Ti合金ナノ粒子の形成が観察された。これらが、触媒劣化の主な原因と考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)