類似多形をもつ複酸化物セラミックスの特定結晶形薄膜の生成
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
PLD / MOCVD / バッファー層 / 薄膜 / ペロブスカイト / パイロクロア / リラクサー / エピタキシャル成長 / 蛍石型構造 / ペロブスカイト構造 / CeO_2 / SrTiO_3
【研究成果の概要】
緩和型誘電体であるPb(Mg_<1/3>Nb_<2/3>)O_3(PMN)および強誘電体であるPb(Zr, Ti)O_3(PZT)薄膜は現在精力的に研究が進められている。これらのペロブスカイト型化合物薄膜作製上の共通の問題点として、常誘電体のパイロクロア型化合物が生成し易いという間題点がある。本研究では類似多形であるペロブスカイト型化合物とパイロクロア型化合物が存在する系においてペロブスカイト型化合物を選択的に安定化させた薄膜を作製するための指導原理を検討した。薄膜はPt/IrO_2/SiO_2/Si基板上に作成した。PMN薄膜はPLD法で、PZT薄膜はMOCVD法作成した。その結果、PMN薄膜については、基板上に直接成膜を行ったところ、パイロクロア型化合物の単相薄膜となり、ペロブスカイト型化合物は全く生成しなかった。ところが、基板上に単位格子1〜数層分という極めて薄いBaTi03シード層を導入したところ、パイロクロア型化合物の生成は完全に抑制され、単相のペロブスカイト型化合物が生成することが明らかになった(基板温度:600℃)。PZT薄膜についてはシード層の導入なしでも基板温度を600℃以上とすると単相のペロブスカイ型化合物が生成したが,基板温度を400℃まで低下させるとパイロクロア型化合物のみが生成する。ところが、基板上に単位格子1〜数層分という極めて薄いSrTiO_3シ一ド層を導入したところ、ペロブスカイト型化合物の単相薄膜が得られることを見いだした。さらに、この方法により、M0CVD法ではPZTの結晶化温度を350℃まで低温化三せることが可能となった。一方、SrTiO_3シード層の膜厚を数十層分と大きくすると、逆にペロブスカイト型化合物の結晶性は著しく低下することが明らかになった。このことは、ペロブスカイト構造の安定化には単にSrTiO_3が必要というわけではなく、微構造や表面エネルギーが重要であることを示唆している。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
脇谷 尚樹 | 東京工業大学 | 大学院・理工学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽的研究
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】2,300千円 (直接経費: 2,300千円)