2次元磁性体ナノシートの大量合成法の開発と磁気特性の探索
【研究キーワード】
ナノシート / 磁気特性 / 電気化学 / 磁性ナノシート / 磁気物性
【研究成果の概要】
本研究課題では、次世代スピントロニクスの基幹材料として有望視されている2次元磁性体ナノシートに関し、大量合成手法の確立に加え、磁性パラメーターの獲得を目指す。具体的には、酸素や水に対して比較的耐性があり、磁気転移温度が比較的高い2次元磁性体であるFe3GeTe2, MPS3 (M: 遷移金属イオン) などを探索対象とする。2021年度は、磁性ナノシートの母物質として鉄リントリカルコゲナイド (FePS3) を取り扱い、(1) 大量合成に向けた反応パラメーターの探索、(2) 電気化学を活用したナノシート化を検討した。
(1) 大量合成に向けた反応パラメーターの探索
これまでの研究において、FePS3の良質な層状結晶を得るためには、緩やかな温度勾配をつけた長時間の焼成が有効であることがわかっていたことから、より大きな反応スケールで条件を再精査することから着手した。合成した一連の試料の粉末X線回折の測定結果から、反応スケールを大きくするに従って、長時間の焼成を行った場合でも未反応の原料や不純物が含まれる傾向が見られた。また、このときに反応温度を高くすることは効果的ではなく、むしろ不純物が多く生成する結果が得られた。
(2) 電気化学を活用したナノシート化
上記 (1) で得られた良質なFePS3層状結晶をナノシート化させる際に電気化学反応を利用することによって、長時間の超音波照射を必要としない、すなわち層状結晶の横方向サイズを大きく損なわないナノシート化の条件を探索した。電気化学反応を進行させるために必要な支持電解質について、種々のカチオン/アニオンの組み合わせを検討したが、これまでのところ、電気化学反応のみでFePS3のナノシート化が進行する条件は得られていない。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2021-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)