強誘電・強弾性逐次相転移における巨大粒度効果の機構解明とその制御および利用
【研究キーワード】
巨大粒度効果 / 強弾性ドメイン構造 / 強誘電体 / 強誘電体結晶 / 強弾性ドメイン / 相転移 / ドメイン構造
【研究成果の概要】
本研究は、いくつかの強誘電体結晶において見られた通常では考えられないほどの大きなサイズを境に相転移が出現/消失する「巨大粒度効果」の機構を明らかにすることを目的としている。現在、CsZnPO4、CsCoPO4、RbZnPO4、RbCoPO4などの化学的に高純度でかつ欠陥などの物理的純度の高い単結晶試料をフラックス法により合成し、研究を進めている。得られた試料については、粉末X線回折実験を行い、単相の高品質な試料が得られたことを確認し、1 mm3程度以上のサイズの単結晶および粉末試料について、その相転移挙動を示差走査熱量計によって調べている。Zn塩、Co塩については、CsZnPO4を除く試料でI-II相転移、II-III相転移に加えて、巨大サイズ効果を示すIII-IV相転移についても、サイズの大きい単結晶では観測される一方、粉末試料でIII-IV相転移は観測されず、巨大粒度効果が確認できている。他方、CsZnPO4については、過去の研究において観測されたIII-IV相転移が単結晶においてすら観測されず、大きな単結晶試料について、高温でのアニールあるいは相転移温度以下の低温でのアニール、相転移系列の多数回の経験などにより相転移を出現させるべく様々な検討を行なっているが、現時点でもこの相転移の出現に至っていない。光学顕微鏡観察を行ったところ、この単結晶試料では強弾性ドメインが観測されなかったことから、強弾性ドメイン構造の存在が巨大粒度効果に大きな影響を与えていることを示唆してる。現在、巨大粒度効果が確認できたCsCoPO4、RbZnPO4およびRbCoPO4について、強弾性ドメイン密度を減らす方向で、高温で応力を印加したまま冷却してI-II相転移およびII-III相転移を経験させることにより、ドメイン構造を制御を行う実験を進めている。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2018-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)