放射光を利用した高分解能粉末回折によるペロブスカイト化合物の相転移のその場観察
【研究分野】無機材料・物性
【研究キーワード】
放射光 / 粉末回折 / リートベルト解析 / 相転移 / ランダウ現象論 / 高温でのその場観察 / 高温構造物性 / 電子密度分布
【研究成果の概要】
金属酸化物をドープしたLa_2Ti_3O_9化合物の相転移を、放射光粉末X線回折により研究した。粉末を充填した平板状試料を用いた。つくば市、高エネルギー加速器研究機構、放射光実験施設のビームライン3Aにて粉末回折実験を実施した。単色化した約1.38ÅのX線を用いた。入射角を一定にして、シンチレーションカウンターにより回折プロファイルを測定した。加熱温度は室温22℃から試料に依存して約450℃であった。アルミナや酸化ニオブをドープしたLa_2Ti_3O_9化合物は室温で斜方晶系(Pmmm)であり、a軸とb軸の長さに差があることによって生じる200と020反射の間のピークの分裂が観察された。この分裂の大きさは温度の上昇と共に小さくなり、ある温度で分裂は消失した。これは斜方(Cmmm)から正方(P4/mmm)への相転移である。軸率b/a-1は温度の上昇と共に連続的に減少して1になった。べき乗則(b/a-1=C(1-T/Tc)^n)を適用した。ここでCは温度に依存しない定数、Tは絶対温度、Tcは相転移温度、nは臨界指数である。実験データをこの式でフィッティングすることにより得られた臨界指数nは0.6〜0.7となり、典型的な二次相転移に対する値0.5よりも大きかった。このことはb/aが二次相転移よりもよりゆるやかに減少することを意味している。合わせて粉末X線回折データのリートベルト解析により、構造の精密化も行った。金属酸化物をドープしたLa_2Ti_3O_9化合物は二重ペロブスカイト型構造を有し、理想的なペロブスカイト型構造のAサイトにおいて、Laが高い濃度で充填したLa1サイトと、La濃度が低く欠陥濃度が高いLa2サイトが交互に並んだ構造を有していることがわかった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
田中 雅彦 | 高エネルギー加速器研究機構 | 物質構造科学研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
佐々木 聡 | 東京工業大学 | 応用セラミックス研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】14,900千円 (直接経費: 14,900千円)