気相合成法を利用したポリマー基ナノ・マイクロコンポジットの新しい製法の研究
【研究分野】複合材料・物性
【研究キーワード】
ポリマー / 非晶質炭秦 / マイクロ・ナノコンポジット / 蒸着法 / シリカ / ダイヤモンドライクカーボン(DLC) / 複合材料 / 高分子構造・物性 / プラズマ加工
【研究成果の概要】
本研究では蒸着法を応用した新しい複合材料作製法を用いることで高分子材料と硬質材料のコンポジットを作った。本手法により溶融可能な高分子に対して非晶質炭素やシリカなどの硬質無機材料のサブミクロンスケールでの分散が可能となった。また、既存の混錬法などの複合化手法よりも簡便にコンポジットが作製できるようになり、さらにはプラズマ処理を施すことによって界面が親和性を帯び、界面接着が良くなる場合もあった。
高分子母材としては最も汎用的に使用されているポリエチレンに焦点をあてた。また、分散材としては非晶質炭素および酸化ケイ素を用いて大気圧下において複合材料作製を試みた。作製したコンポジットの構造評価および物性評価を実施した。コンポジットの構造評価を行ったところ、光学顕微鏡および動的光散乱法を用いることにより分散材のサブミクロンスケールでの分散が確認された。また、分散させる際のポリマー溶融体母材の粘度が分散させる非晶質炭素のサイズに大きく影響することがわかった。これより、あらかじめ高分子母材の粘度を決めることで分散材の粒径をコントロールすることが可能となることがわかった。また、実験条件を大気圧下から真空下へと移行して予備実験を実施した。ここでは、母材として同様のポリエチレンを、分散材としてDLC(非晶質炭素の1種)を用いてコンポジット作製を行った。その評価を大気圧下と同じように行ったところ、DLC含有にともないヤング率の増加が確認された。これは材料内部でDLCが強化材として機能したと考えられる。また、熱物性試験結果により材料の融点、結晶化温度の上昇が確認された。これはDLCが複合材料内部で有効に結晶核剤として機能したことを意味していると考えられる。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的萌芽研究
【研究期間】2009 - 2010
【配分額】3,200千円 (直接経費: 3,200千円)