3D積層造形のための不確かさの系統的モデリングと確率的疲労寿命予測による品質保証
【研究キーワード】
確率的FEMシミュレーション / 不確かさ / 確率的疲労寿命予測 / 3D積層造形 / 歯科補綴物 / 初期欠陥 / チタン合金 / 純チタン / ポリアミド / アルミ合金 / 確率的FEMシミュレーション
【研究成果の概要】
3D積層造形に起因する幾何的な造形不良および初期条件としての微小欠陥を仮定した有限要素解析に関し、以下の成果を得た。
1. 円孔を有する造形物の力学的挙動の製造前の確率的予測: ポリアミド(PA-12)およびアルミ合金(Al-Si10-Mg)に対し、円孔のゆがみを表す幾何的パラメータを定義し、統計的計測により、ばらつきも含めて積層角度の正弦に対して線形の相関性を見出した。作成したデータベースは補間が可能である。確率的有限要素モデルを生成することにより、製造前に確率的予測が行えることを、イメージベース解析との比較により実証した。
2. 積層造形用のサポート内多孔質構造の解析: ストラットの不連続部とストラット幅のばらつきを考慮した確率的有限要素解析モデリング手法を考案し、熱伝導率および弾性定数の等価物性値の解析を行った。
3. チタン合金製歯科補綴物の疲労試験: チタン合金(Ti-6Al-4V)製クラスプの疲労試験(N=14本)を1万回~10万回の繰り返し負荷の範囲で実施し、歯科臨床上要求される1万回の繰返し負荷に耐えるストロークが0.45mmであることを見出した。SWT法の係数をキャリブレーションし、疲労寿命の予測が可能となった。初期条件の不確かさとして微小欠陥を仮定した疲労寿命のばらつき(下限値)の予測結果とあわせ、歯科分野の学術誌に論文発表した。
4. 純チタン製歯科補綴物の解析と疲労試験: チタン合金より降伏応力が低く、加工性に優れる純チタン(TiCP)に対し、材料特性の取得ならびにチタン合金と同様の疲労試験を実施した。有限要素解析を行うことにより、SWT法の係数をキャリブレーションした。1万回の繰り返し負荷に耐えるストロークはチタン合金と同じ0.45mmであったが、0.45mm以下のストロークでは純チタンの方が疲労寿命が長く、純チタンの臨床応用可能性を見出した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
植松 美彦 | 岐阜大学 | 工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
松田 哲也 | 筑波大学 | システム情報系 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】18,200千円 (直接経費: 14,000千円、間接経費: 4,200千円)