分子動力学を用いた微視的離散モデルに基づく材料強度評価システムの開発
【研究分野】材料力学
【研究キーワード】
分子動力学 / 微視的破壊力学 / 材料強度 / 界面強度 / Si結晶 / エンジニアリニグ・ワークステーション / スーパーコンピューティング / エンジニアリング・ワークステーション / エンジニアリング・ワ-クステ-ション / ス-パ-コンピュ-ティング
【研究成果の概要】
(1)接合材界面き裂の挙動をシミュレーションするに際し、マクロな材料物性(ヤング率およびポアソン比)を再現する原子間ポテンシャルを2次元3角形格子状の原子配置のもとで作成した。また、境界条件として線形弾性論によって得られる特異解を用い、凖静的な荷重負荷状態における原子配置を計算するための分子動力学解析プログラムを開発した。金属(Cu)-セラミックス(Si3N4)接合材を想定し、開口モード、界面強度が界面き裂の進展に及ぼす影響をパラメトリックに調査した。(2)電子デバイスの主な構成材料であるSiの力学的な信頼性評価を目的として、上記のプログラムを改良することにより、Si単結晶における転位すべり運動の解析プログラムを作成した。原子間力の計算にはTersoff型ポテンシャルを用いた。臨界せん断応力およびパイエルス力の計算において文献値と近い値が得られた。半導体素子の製造プロセスや原子レベルの超精密加工技術への応用を考えるにあたっては、結晶の表面を取り扱う必要のあることから、Si(111)面の(7X7)構造をDASモデルに基づいて安定に再現できることを確認した。さらに、adatomの圧入・除去操作をシミュレーションし、原子操作に必要なエネルギの比較を行った。(3)連続体力学とのインターフェイスをモデル化することにより、有限要素法などの連続体力学に基づく解析手法の中に微視的な観点から得られた情報を取り込む手法を開発した。分子動力学法によりマイクロクラックのシミュレーションを行い、その結果から、マクロな量である弾性定数の変化を導出することにより損傷の効果を材料強度評価に取り込む手法を構築した。損傷評価にはBudiansky and O'Connellの理論を用いた。
【研究代表者】