水素誘起材料劣化機構の包括的な動的過程解析
【研究キーワード】
機械学習ポテンシャル / 第一原理計算 / 荷電欠陥 / 水素脆化 / 量子効果 / 水素 / 計算物理 / 材料劣化
【研究成果の概要】
水素曝露による金属材料の劣化機構の解析に向けて、密度汎関数理論(DFT)に基づく第一原理計算データから機械学習手法によって原子間ポテンシャルを作成する取り組み(機械学習ポテンシャル)を昨年度に引き続き進めた。アルミニウム材料の劣化機構においては、酸化被膜と金属アルミニウムの界面での原子拡散の重要性が指摘されている。また、酸化物中に存在する水素の荷電状態を調べることも重要である。しかし、これまでに提案されている機械学習ポテンシャルの方法は、異なる荷電状態を含むDFT計算データに適用できないことがわかったため、ニューラルネットワークポテンシャル(NNP)をベースとした方法論の改良を進めた。昨年度に予備的な結果を得たが、開発した方法論をさらに検証するために、荷電欠陥の電子状態がよく知られている窒化ガリウム中における荷電窒素空孔をターゲットに用いた。窒素空孔の荷電状態として0、1+、2+、3+を含む窒化ガリウムの訓練データセットを作成し、開発した機械学習ポテンシャルを作成したところ、全ての荷電状態においてテストデータのエネルギーと原子間力を小さな誤差で予測することができた。次に、作成した機械学習ポテンシャルを用いて窒素空孔を含むモデルでの格子振動計算と欠陥生成エネルギー計算を行った。その結果、全ての荷電状態において機械学習ポテンシャルの予測値はDFT計算結果と良い一致を示すことがわかり、本手法の有用性を示すことができた。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)