大気腐食の電気化学インピ-ダンス-液膜腐食セルの非接触型参照電極による測定-
【研究分野】金属材料
【研究キーワード】
大気腐食 / 薄膜 / インピ-ダンス / Kelvin法 / 拡散限界電流 / 電子部品
【研究成果の概要】
本研究は機能材料、特に電子部品材料の大気中の腐食速度と腐食反応機構を調べるために、極めて薄い(〜10μm)液膜の下での腐食反応のインピ-ダンスを、半導体の仕事関数測定に用いられる振動容量法(Kelvin法)を応用して、参照電極を液膜に接することなく測定しようとするものである。本年度は、汚染・物質移動の妨害・電位測定の誤差の恐れの無い非接触型の参照電極により、液膜腐食状態での分極曲線の測定とインピ-ダンス測定の可能性を実証することを試みた。
測定装置の作成と測定条件の検討;試作した電極による実験と理論的な考察から、振動電極は振動周波数が高く、振幅が大きく、電極間距離が小さいほど高感度であることが示されたが、機械的な振動(電磁石、スピ-カ)での周波数特性が悪く、高感度の測定は困難であった。圧電高分子膜を直接駆動する方法により周波数特性が改善されることがわかった。さらに、電流信号の振幅と同時にその位相差を測定することにより、電流振幅が最小を示す電位で位相差が180°変化し、より正確な電位測定ができることがわかった。
水膜形成と分極曲線の測定;金を参照電極とし、銅電極上に水膜を形成した状態でのカソ-ド分極曲線を従来法と非接触法により測定した。水膜を介しての酸素の供給速度が増加するため拡散限界電流が増大することが認められ、従来法では溶液抵抗による測定誤差がきわめて大きく、非接触法が優れていることが確認された。
今後の問題点として、インピ-ダンス特性を測定するためには外来雑音を少なくすること(シ-ルドボックスの利用)、安定な液膜を形成させるために恒温・恒湿槽が必要であること、液膜の厚さを正確に測定する工夫が必要であることなどがわかった。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(C)
【研究期間】1989
【配分額】2,000千円 (直接経費: 2,000千円)