サーファクタントエピタキシー法を用いた金属多層膜の界面構造と物性制御
【研究分野】金属物性
【研究キーワード】
サーファクタントエピタキシー / 薄膜 / 金属多層膜 / 結晶成長 / シーディッドエピタキシー / 巨大磁気抵抗効果 / スパッタ蒸着 / Surfactant Epitaxy / Thin Films / Metallic multilayer / Crystal Growth / Seeded Epitaxy / Giant Magnetoresistance / Sputter Deposition / Surfactant epitaxy / Giant magnetoresistance / Seeded epitaxy / metallic multilayer / Giant magnetoresitance
【研究成果の概要】
サーファクタント媒介エピタキシー法を主にFe/Cr金属多層膜に適用し、同手法のメカニズム解明に寄与すると共に良質のヘテロ界面を実現した。以下にその概要を示す。
Fe(100)面上のFeのホモエピタキシャル成長、及びCrのヘテロエピタキシャル成長にBiをサーファクタントして用いてその効果を調べた。その結果、Biサーファクタントはそれら蒸着原子の表面拡散を抑制し、ステップでの層間移動を容易にさせることで層状成長を促進させる効果があることを見いだした。また、最も効果的に層状成長を促進させるBi原子の蒸着量には最適値が存在することが判明した。薄膜成長中にBiが効果的に表面偏析していることも確認され、Biがサーファクタントとして効果的に働いていることが確認された。
以上の結果を踏まえて、分子線エピタキシャル装置(MBE)とスパッタ装置の双方を用い、BiサーファクタントをFe/Cr多層膜作製時に適用したところ、微量のBiがサーファクタントとして効果的に働き、Fe/Cr多層膜の層状成長を促進させていることが確認された。Biを用いて作製したFe/Cr多層膜の界面構造は、Biを用いないで作製したFe/Cr多層膜の界面構造よりも急峻であり、磁気抵抗比も増大した。これらの結果から、サーファクタントにより界面構造が急峻になることで巨大磁気抵抗(GMR)効果が大きくなることが判明した。
Au/Co、Cu/Co等のFe/Cr以外の系におけるサーファクタント効果についても同様に研究を行った。その結果、Fe/Cr系の場合と同様に、サーファクタントが蒸着原子の表面拡散を抑制することで層状成長を促進することが判明した。これらの結果から、サーファクタントは金属多層膜の界面構造を制御する場合には非常に効果的であり、且つ界面構造を制御することで、多層膜の磁気特性を人工的に制御可能であることが本研究から導き出された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
神子 公男 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2002 - 2004
【配分額】14,900千円 (直接経費: 14,900千円)