高効率アップコンバージョン型酸化物蛍光体の創製とその発光機構の解明
【研究キーワード】
アップコンバージョン蛍光体 / 局所環境解析 / 第一原理計算 / エネルギーハーべスティング / 結晶構造解析 / 先端分光分析
【研究成果の概要】
本研究では,吸収した光をより高いエネルギーの光に変換して放出するアップコンバージョン現象に着目し,近赤外光を可視光に変換して太陽電池発電に寄与できるようにすることを目指した高効率・高耐久のアップコンバージョン型蛍光体の創製と,そのようなアップコンバージョン型蛍光体として知られている希土類添加型酸化物におけるアップコンバージョン現象のメカニズムの解明を目指している.具体的には,種々のマトリックスに希土類元素を添加したアップコンバージョン型蛍光体を種々の条件下で合成し,粉末X線回折法を用いた結晶構造解析及びシンクロトロン放射光を用いた添加元素の原子レベルでの局所環境解析を行い,アップコンバージョン発光特性評価を進めている.更に,X線光電子分光,紫外可視吸収分光及び第一原理計算を用いた電子状態評価も進めている.合成して評価を進めたアップコンバージョン型蛍光体における発光機構に関する知見を基にして,より高効率・高耐久のアップコンバージョン型蛍光体の創製し,太陽電池とのハイブリッド化を視野に入れて研究を進めている.
2021年度においては,2020年度に実施したCaMO4(M =Zr, Ti, Sn)系の酸化物をマトリックスとして,Er, Ybをはじめとする希土類元素を添加した試料を種々の条件下で固相反応法を用いた合成に加えて,アルカリ金属を共添加した試料の合成を行い,アルカリ金属共添加によるアップコンバージョン発光強度の増大を目指した.合成した資料に対して,X線回折法を用いたそれらの結晶構造解析とアップコンバージョン特性の評価,共添加したアルカリ金属の種類及び添加量に対する,アップコンバージョン発光波長や発光強度を整理した.また,第一原理計算を用いた希土類元素の局所環境評価および電子状態評価も行った.
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2020-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)