磁気EXAFSによる希土類-遷移金属合金のスピン分極分布の研究
【研究分野】金属物性
【研究キーワード】
希土類 / 遷移金属 / 磁性 / 磁気EXAFS / スピン分極分布 / 多電子励起 / 磁気円二色性 / 放射光 / EXAFS / DyFe2 / Nd-Fe-B / X線発光分光 / Nd-FeーB
【研究成果の概要】
本研究は、磁気EXAFSの高精度測定法と解析法を確立するとともに、磁気EXAFSの特徴を最大限に活かした磁気構造解析を行い、希土類-遷移金属合金におけるスピン分極分布を明らかにして、この合金の磁性の研究に貢献することを目的として、平成11年から平成12年までの2年間にわたって行われた。
その研究の主たる研究成果は次の通りである。
(1)NdCo2およびTbFe2の磁気EXAFS測定を行い、その磁気構造に関する知見を得るとともに磁気EXAFSの有用性と問題点を明らかにした。
これらの測定スペクトルを新たに考案した方法で解析すると、構成原子のスピン磁気モーメントの大きさと方向に関する情報を担った二体分布関数が得られることが示された。これは磁気EXAFSが極めて有用な磁気構造解析手段であることを例示したものである。
しかし、磁気モーメントの動径分布を導出するための定量的な信頼度の高い解析法を確立するには、次の二つの大きな問題点を克服する必要があることが明らかにされた。a)位相因子やバックグラウンドなどのパラメータ値の解析値の信頼性に問題がある。b)磁気EXAFSの場合は多電子励起(MEE)の効果が通常のEXAFSに比べて非常に大きい。このため、磁気EXAFSのスペクトルを磁気多電子励起(MMEE)の部分を含めてフーリエ変換してしまうと誤った磁気構造を与えることになる。
(2)磁気EXAFSのスペクトルの解析の信頼性を向上させるためにMMEEに関する研究を行った。その結果、MEEスペクトルの強度と形状、MMEEの励起エネルギーに関する詳細な知見を得るとともに、磁気EXAFSの解析に与える影響を評価することができた。
(3)遷移金属および希土類の磁気吸収およびX線発光スペクトルの測定を行い、これらの元素における磁気円二色性発現の機構に関する知見を得た。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
渡辺 康裕 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】6,600千円 (直接経費: 6,600千円)