Y-Ba-Cu-O系高温超伝導体の構造欠陥と性能劣化の高分解能電顕による研究
【研究分野】金属物性
【研究キーワード】
高温超伝導酸化物 / Y-Ba-Cu-O / Bi-Sr-Ca-O / 構造欠陥 / 水蒸気による劣化 / 高分解能電顕法 / 変位波模型 / 超空間群解析 / Y系酸化物高温超伝導体 / Y系酸化物の水蒸気による分解 / Bi系酸化物高温超伝導体 / Bi系酸化物の変調構造 / 非整合周期 / 金属元素置換 / Gd系酸化物高温超伝導体 / 相転移 / 変調構造 / 4次元空間群
【研究成果の概要】
本研究課題に関して、Y系酸化物高温超伝導体及びBi系酸化物高温超伝導体の構造を主として高分解能電顕により研究して以下の成果を得た。
1.YBa_2Cu_3O_7-yの研究。
焼結法により作製した結晶中に面状欠陥が存在すること、面状欠陥はBaO層間への余分なCuO層の挿入によること、軸比b/aには場所的変動があり、これは酸素濃度分布の不均質性に由来すること等を示した。また、水蒸気による分解過程を研究し、分解はBaO層からのBa脱離から始まり、最終生成物は試料表面上のBaCO_3、結晶粒界上のY(OH)_3、及び残存CuOの再結合によるCuOであること等を示した。
2.Bi-Sr-Ca-Cu-Oの研究。
Bi原子の周期的偏在に起因する特異な非整合変調構造がb軸方向に存在する結果、結晶が著しく歪んでいることを高分解能電顕観察により見いだし、観察結果にもとずいて結晶内に縦波及び横波成分を持つ変位波の存在を仮定して構造模型をつくり、これが電子回折強度分布をよく説明することを示した。また、Biの一部をPbで置換した試料を研究し、Pb置換が結晶内部歪みをかなりの程度減少させることを見いだし、上と同様な変位波模型をつくり、電子回折強度分布を説明した。また、Pb置換量を増加させると、無置換のときの相(非整合周期4.8b_0;b_0は基本周期)の他に周期の長い相(7b_0〜8b_0)も出現することを見いだした。Caの一部をYで置換すると、置換量の増加と共に非整合周期は次第に減少してゆき、周期4b_0、8b_0の整合相が生成する。これとは別に、非整合構造の超空間群理論による説明を行い、消滅則から超空間群N_<111>またはN_<111>を導き、変位波や原子占有確率を得て、観察像と比較してよい結果を得た。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山本 直紀 | 長岡技術科学大学 | 工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
弘津 禎彦 | 長岡技術科学大学 | 工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】一般研究(A)
【研究期間】1988 - 1989
【配分額】39,000千円 (直接経費: 39,000千円)