X線エリプソメーターの開発とその応用研究
【研究分野】応用物理学一般
【研究キーワード】
X線 / 偏光 / シンクロトロン放射光 / 移相子 / エリプソメーター / 光学活性 / X線偏光顕微鏡 / X線光学素子 / 偏光顕微鏡 / シンクロトロン放射 / X線エリプソメーター / X線移相子 / X線位相子
【研究成果の概要】
エリプソメトリー(偏光解析法)は、偏光状態のわかった完全偏光の光を試料へ入射し、反射の際の偏光状態の変化を測定して試料の光学定数を求める測定法である。この測定法は、可視光領域では金属や半導体の表面の複素屈折率の測定、基板上の薄膜の厚さや屈折率の測定、単分子層以下のガスの吸着量の測定など、広い分野で用いられている。しかし、X線領域の光に対するエリプソメトリーは、偏光光学素子がなかったため、これまで実現されていない。ところが、近年、X線に対する偏光光学素子(偏光子、検光子、移相子)が我々のグループを含め世界の数グループにより開発され、これらを偏光度の高いシンクロトロン放射X線源と組み合わせてX線エリプソメーター(X線偏光解析装置)を開発すれば、X線領域の光に対するエリプソメトリーが可能である。
本研究では、先ず、我々がこれまでに開発したX線ポラリメーター(X線偏光計:X線偏光子とX線検光子から成る)に新しく考案したダイヤモンド結晶を用いた回転型四象限X線移相子を組み合わせて、偏光度の高い水平偏光、垂直偏光、円偏光のみならず、任意の角度に傾斜した直線偏光や任意の長軸傾きと楕円率を有する楕円偏光を含む任意の偏光状態の生成、および、偏光状態の高精度な解析を行うことのできるX線エリプソメーターを開発した。
また、二次元スキャン(偏光子の回転・検光子の回転)をX線エリプソメーターに導入する事により、結晶の対称性に関わらず、円複屈折と円二色性の精密測定を行うことができた。
さらに、回転型四象限X線移相子を用いて高精度な偏光スイッチングを行い、一軸性結晶であるCo(en)_3Br・H_2O単結晶の非光学軸の四つの光学パラメーター(直線複屈折・直線二色性・円複屈折・円二色性)を得ることに成功した。
本研究では、回転型四象限X線移相子と二次元スキャンの導入によりX線エリスソメトリーの基礎を確立することができた。今後は、測定精度の高い技術を活かし、物質構造や電子状態の構造異方性と磁性の研究に関する応用研究をさらに発展させて行きたい。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
沖津 康平 | 工学部総合試験所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
上ヱ地 義徳 | 東京大学 | 大学院・新領域創成科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2000 - 2001
【配分額】20,740千円 (直接経費: 19,600千円、間接経費: 1,140千円)