界面の分子論的構造が及ぼす気液二相流動への影響の解明とそれを応用した流動制御
【研究分野】流体工学
【研究キーワード】
界面活性剤 / 上昇気泡 / マランゴニ効果 / 終端速度 / 実験 / 超純水 / 数値解析 / 吸着モデル
【研究成果の概要】
気体二相流動にとって,気液界面における質量,運動量,エネルギーの輸送現象は,最も基礎的な現象であり,界面の状態により大きな変化をみせる.例えば,液体中に多くの気泡を含む気泡流の場合,界面活性剤の混入により,気泡同士の合体が妨げられたり,気泡の上昇速度が減少することにより,流動構造全体に大きな影響を与えることが知られている.本研究では,これらの知見に基づき,液中に存在する界面吸着物質の濃度と表面構造の関係の解明,さらに,物質濃度の違いがマクロな流動へ与える影響に対する定量的解析を目的とし,超純水,既知濃度の界面活性剤混入水を用いた単一上昇気泡の挙動を調べる実験およびNS方程式を基礎方程式とした数値計算による界面活性剤の気液二相流動に与える影響のシミュレーションを行った.
実験では,超純水中において理論的に導出されるレイノルズ数と抵抗係数の関係が再現され,また,10^<-5>Vol%の3-ペンタノールの混入で,単一気泡の終端速度が有為に低下することが観察され,界面活性剤の影響が調べられた.
また,数値計算においては,変形を伴わない球形気泡に対して,Henry型とLangmuir型の吸着モデルを用い,界面に沿う直交曲線座標系による解析を行い,界面活性剤の濃度と気泡に働く抗力の関係について解析した.計算結果より,微量な界面活性剤の混入においても,界面吸着物質のもたらすマランゴニ効果により気泡に働く抗力が著しく増加する可能性があること,気泡径が等しく終端速度が同じ場合,レイノルズ数が高いほどマランゴニ効果が大きくなることなどが示された.また,純水中とは異なり,マランゴニ効果により気泡後部に2次渦を伴う剥離渦が形成される様子がシミュレートされた.
【研究代表者】